第2回例会

「無名戦士」として正式に発足したのを受けて、集まりの名称も「定例会」と変えてのスタートである。当日の参加者は8名。最初に到着した4名(管理人・先生・善・偏食)で、三国志演義(エポック)がプレイされる。


三国志演義(エポック)


シナリオは「No.1」をプレイ。管理人がこのゲームを取得したのはつい一週間前のことであり、ルールのインストもかねてのテストプレイ。登場陣営は袁紹(善)・曹操(管理人)・劉備(偏食)・劉表(先生)ということになるが、くせ者なのがこのゲーム。若干のヒストリカル・シナリオを除いては、基本的に三国志群雄の旧領土だけを設定として流用しただけで、武将の配置はまさに「ガラガラポン」。具体的には、ゲームに先立ち、5枚の武将チットを引いて、その中から「君主」を選び、残る4枚のうち3枚が「桃園の誓い」をして仲間となると言った具合で、例えば管理人陣営など、君主「諸葛亮」・武将「厳顔」といった有様。


しかし、同じジャンルを扱う「英雄三国志」(HJ)が、ともすればヒストリカルな枠組みに縛られすぎるあまり、どのシナリオを選択しても「なるようにしかならない」展開が多かったことに比べれば、マルチ・ゲームとしてみた場合、こちらの方が優れていることははっきりしている。まあ、このあたりは好みの問題だろう。システムは極めて簡単で、

1.天命札

2.第1移動・戦闘フェイズ

3.第2移動・戦闘フェイズ

4.第3移動・戦闘フェイズ

5.軍政・人材登用

という流れで進む。順番はターン毎にランダムで、各移動・戦闘フェイズに動かせるのは、1スタックのみ。また、軍を活性化させるたびに、補給ポイント(領土の数に比例)を消費し、軍政や人材登用でもこれらの補給ポイントを必要とするので、戦争にかまけているとあっという間に国力が枯渇するという、なかなか良く練り込まれたゲームである。また、一騎打ちや武将の裏切りなど、三国志を彩る小技も効いていて飽きさせない。実際の展開は、諸葛亮を恐れた3陣営が一斉に管理人に襲いかかり、動員すら不可能にするといった、あまりといえばあまりの展開で、管理人としては、隙をついて善の本拠を落とすのが精一杯といった有様。ここで、管理人とはヤフオクの売買で偶然知り合い、今度の例会に参加してくださることになった中野さんが到着したので、プレイから脱落した管理人は中野さんと交代する。相談の上、同じシナリオでもう一度はじめられた模様。


ちょうどそのころ、別卓ではen-chanと栗原さんが『DAK the Desert(GJ51号)』をプレイ。管理人は未プレイのために、突っ込んだコメントはできないが、コンパクトな外見とは異なり、頭の使い様は相当なものとのこと。トブルクを早々に陥とされた英軍が、エル・アラメイン前面で必死の防衛戦を張り、DAKの猛攻をどうにか撃退したところで投了。


シンプルな外見とユニットの少なさには食指が動く

DAK the Deaert(GJ51号)


 三国志演義をぬけた管理人は、水戸から来訪してくださった入江さん(SBC所属)とI am SPARTACUS!を対戦。本家コマンド15号掲載のこのゲームは、日本版コマンド43号にて特集予定を組まれており、無名戦士でも掲載に先立ってのテストプレイを積極的に行っている。今回は管理人とen-chanとのリプレイ取りを予定していたが、DAK the Desertが佳境に入っていたこともあり、入江さんも古代戦ファンとのことだったので、ローマ軍(管理人)・スパルタクス反乱軍(入江さん)で対戦。
 
まずゲームの肝である戦闘システムを理解してもらうために、一見山ほどもある反乱軍部隊とローマ3個軍団でテストマッチ。反乱軍が見る間に削られていくのに対して、完全戦力のローマ軍団はまさに鉄壁。しかし、ひとたびローマ軍団にまとまった損害が出れば、反乱軍もほぼ互角に戦えるという展開を理解してもらった上で、早速プレイ開始。


プレイ序盤 クリコス率いる反乱軍一隊がエペイロスにまで到達するも、これを補足したロンギヌス率いる2個軍団に撃破される。

シシリアを除く全土を反乱の波が覆うも、指導者のことごとくを喪失したスパルタクスは遂にサビニア山岳地に追い込まれ、華々しい最期を遂げる。


 選択ルールを全て使用しているために、反乱軍が南イタリアに留まる限り、アクィレイアとムティナの2個軍団は動きをとれず。このアドバンテージを活かして南イタリアで勢力を整えた入江反乱軍(クリコス指揮)は、アドリア海沿いに北上開始。アルプス越え(ガリア・ゲルマニア人部隊はここから離脱することで勝利ポイントに変換される)を警戒してガリア・キサルピナに戦列を構えたローマ軍をスイングして、一挙にエペイロスまで到達する反乱軍。この展開には度肝をぬかれたディクタトール管理人であるが、肝心のクリコス軍が、離脱対象となるギリシア人・トラキア人・シリア人(彼らはエペイロスかイリリクムから離脱)を動員できず、逆に袋小路に追い込まれる。そしてこれを2個軍団で補足した管理人ロンギヌスは、1人残らずこれを討ち取る大戦果。
 
イタリア本国では、比較的分散した奴隷軍各部隊に対して、ローマ軍はティレニア海にいる艦隊を駆使した戦略移動で各個撃破。この討伐戦で、スパルタクスとオエノマウス以外の全てのリーダーが戦死したために、反乱軍の展開力は格段に低下する。これを勝負所とみた管理人は、10ターンの増援(クラッスス麾下の6個軍団)を見送って、手持ちの5個軍団にて鎮圧をはかる。この間、南方諸州の鎮圧に分派したゲルリウスと第20軍団が、スパルタクス本隊に補足されて全滅するというミスを犯すも、最終ターンまでに反乱軍を山岳地帯に追い込み、4個軍団で殲滅に成功。12ポイント差でローマ軍が勝利を収める。
 プレイは都合4度目となる比較的ベテランの管理人に対して、初プレイの入江さんが最終ターンまでもつれ込ませるという展開は、管理人のトホホっぷりを伺わせるのに充分ではあるが、それでも一応の勝因分析を。まずサドンデス勝利条件として与えられている「ローマ陥落」ないし「スパルタクスの戦死」は、システム上、ほとんど不可能である。前者は、反乱軍が10個以上の平野属州を押さえ、なおかつ2ターンにわたる包囲戦が必要であるし、後者にしてもスパルタクスが飛び抜けた戦闘回避能力と動員力を持っているために、反乱軍プレイヤーがよほど決戦を望まない限りは、まず起こり得ない事態だからである。とすれば、ポイント勝負となるところだが、この分かれ目は、ローマ軍が第10ターンの増援を動員するかどうかにかかってくる。この時期、共和政ローマはヒスパニアやトラキア、小アジアで大規模な反ローマ戦争に従事しており、イタリア本国に兵を戻すと言うことは、それだけ海外の戦局が悪化するという事態に結びつくからである。この史実は、ローマが増援を動員するたびに、勝利ポイントが失われることで反映されている。逆説的であるが、反乱軍が勝利するためには、ローマにどんどん増援させるような展開を作り出すことが必要なのである。そのためには、反乱軍が充分な戦力を整えることが先決で、3ターン毎に発生する「改良・増援フェイズ」に、積極的に部隊をアップグレードさせなければならないのである。またアップグレードした部隊は、そのまま盤外離脱による勝利ポイント対象にもなるので、特に重要である。今回の入江反乱軍は、2ターンと5ターンの改良・増援フェイズに、肝心の本隊が山岳にこもってしまい、アップグレードの機会を喪失したことと、リーダーを多数戦死させてしまったことが敗因として大きく響いた。このために、反乱軍の展開力を計算できるようになったローマ軍は、10ターンの増援を呼ばずに、反乱を鎮圧できる確信を得たのである。反乱軍としては、緒戦にまずその動員力でローマに痛撃を与え、動きをとれなくした段階で部隊を改良し、これをことごとく離脱させてポイントを重ね、10ターンの増援を呼ばせること。こうしてクラッススが到着したら、後はひたすら逃げてまわり、戦力を温存したまま、最終間際にもう一度離脱でポイントを重ねて、最終決戦を望むというのが手だろうか。10ターンの他にも、13ターン(ポンペイウス)・16ターン(ルクルス)といった増援も登場するのだが、この連中まで動員せねばならぬようなローマ軍プレイヤーは、そうとうなボンクラ者である(かく言う管理人は、ポンペイウスとクラッススの確執を再現したい余り、無用に13ターンの増援を募って、大敗北を喫したこともあるのだが……)。クラッススの焦燥を再現するために、10ターン以降、ポンペイウスの登場にランダム性を持たせる特別ルールを考案しているのだが、まあ、これはこれ。いずれにしろ、初プレイながらも、スパルタクスのゲーム的面白さをに触れた入江さんも、大絶賛の好ゲームである。



さて、管理人が抜けてしきり直しとなった三国志卓では、北狄と南蛮が闖入するなど荒れ模様の展開にあわせ、周辺中立エリアがことごとく強大化するなどして手詰まりの様相。勝利条件も曖昧なままだったので、同意の上で投了となり、中野さん持参の「Naval War」のプレイとなる。先生・善・偏食の三者とも、海戦ジャンルのゲームは初プレイだったため、かなり物珍しかった模様。こういうゲームで知的好奇心を喚起してもらえば、たとえばVictory at Seaやロイヤル・ネイビーなんかもインストしやすくなるので、一石二鳥である。建艦競争やAtlantic Stormなんかもぜひプレイしてみたい。


 スパルタクスを終えた管理人・入江さんペアであるが、まだDAK the Desertが熱い展開だったので、「太平記」(翔企画/GJ)をさくっとプレイ。5ターン連続で主導権を握った入江公方ではあったが、ことごとく主導権数が3以下だったためにまともな展開を作れず。征夷管理人大将軍は、足利尊氏本隊を南関東から東海に移して、ここを制圧。そして北畠親子が東北を空けて南下した隙に、高師直を東山経由で北関東に送り込み、北畠親子を包囲。北畠が北関東に戻れば足利が鎌倉を狙い、奥羽に本陣を構えた高師直は、在国ボックス親派を続々動員して、いつの間にやら大兵力。その間に、北畿では足利尊氏が新田義貞を撃破して、これを北陸に追いやり、高師泰は南畿にて大動員。京では楠兄弟が討ち死にして、赤松円心も武家側に寝返り。ついに6ターン、主導権数4にて武家がイニシャティブを握るに至り、怒濤の進撃で南関東と山陰を除く全エリアが武家陣営となって投了となる。


コマンド付録、そして再販とアイテムがそろっているにもかかわらず、なぜかMiH社のオリジナルを使って対戦するあたり、かなり廃な情景である。


 東部戦線ファンの入江さんは、約束通りen-chanとRing of Fireをプレイ。日本版コマンド14号の付録となり、つい先日再販されたばかりの傑作作戦級ゲームであるが、en-chanと管理人、たびたび対戦構想をブチ上げるも、なかなか実現に至らず今日まで放置。今回の入江さんの訪問を受けてようやく実現した対戦である。


 Naval Warは3戦目に突入。1戦・2戦とことごとく最初に全滅し、あちこちの卓を覗きにふらふらしていた善であるが、今回こそはとの決意に燃える。そんな4人卓に触発されて、管理人と栗原さんは「Victory at Sea」(Jedko/日本版コマンド)をプレイ。デーニッツ管理人とチャーチル栗原の決戦である。


中盤 暴れまくる通商破壊艦に手を焼いた英軍は、地中海から快速艦隊を派遣。

8ターン終了。英国海軍の屍の山に対して、ドイツ艦隊はドイッチュラント/グナイゼナウ/グラーフ・ツェペリン/重巡2 しか損害がない! 


 ゲーム序盤、南大西洋で荒れ狂う通商破壊の嵐(ポケット戦艦+提督)に手を焼く英国海軍。制圧に向かう高速重巡もことごとく返り討ちにあい、遂に地中海艦隊を出撃させて、これを補足。しかし、この間に、地中海ではUボートを連動したイタリア艦隊が英国地中海艦隊に痛撃を与え、制海権を確保するという大胆すぎる展開。
 
大西洋方面では、バレンツ海を出撃したドイツ快速艦隊は、順調にフランスに到着。本国に残ったビスマルクとティルピッツはゲリラ的な出動でバレンツ派遣艦隊に打撃を与え、出撃してきたソ連バルト艦隊も、グナイゼナウを中核とする派遣艦隊で瞬殺。この間、潜水艦テクノロジーも枢軸優位に推移したために、南大西洋やカリブ海はことどとく無力化。6ターンを見越してチャンネル・ダッシュを実施したフランス派遣艦隊と合流した本国艦隊は、コンボイを守るために手薄になった北海に突入。グラーフ・ツェペリンを喪失するも、英国も空母1/戦艦3/巡洋艦2を喪失する大敗を喫する。7ターンの北海侵攻こそ撃退するも、これによって、全海域を守りきることが難しくなった連合軍のふところ事情を見越して、Uボート艦隊を地中海に大挙派遣した枢軸は、7/8ターンのイタリア降伏条件を阻止して、遂に8ターン、イタリア艦隊は南大西洋に出撃。これに呼応して、再度北海に進出したドイツ艦隊は、再び英国海軍に痛打を与える。結果、手薄になったバレンツ海こそ連合軍に制圧されるものの、コンボイのムルマンスク入港は最終9ターンとなるために、一挙に5ポイントを獲得して、ポイントで連合軍を追い抜いた枢軸軍。最終ターンは、北海・北大西洋・バレンツ(コンボイ含む)を3カ所を守り切れなければ敗北必至の連合軍は、勢い、配置が手薄とならざるを得ず、ドイツ海軍は再び北海に侵攻して、これを制圧。南大西洋・カリブ海・地中海もすべてUボートに無力化されて、遂に英国海軍は敗北を喫する。
 
英国の敗因は、決戦にてドイツ海軍艦隊の撃破よりも、撤退を優先した砲撃配分にあった。このため、ビスマルクやティルピッツといった主力艦は、常に完全戦力を発揮できたし、グナイゼナウやシュペーといった補助艦も、存分に持ち味を発揮できたのである。これは栗原さんの評価によるところで、管理人もおおむね同意。後半に入っても艦数で充実したドイツ海軍は、本当に使い勝手が良かった。ドイツを使用しての初めての勝利である。


 別卓で開始されたRing of Fire(枢軸 en-chan/赤軍 入江さん)は、巧みな遅滞戦術と機動予備で、突出する赤軍戦車旅団をひねり潰していたドイツ軍防御線を、赤軍がなかなか突破できないまま、どうにか別方面で突破成功したところで時間切れといった様子。正味3時間ほどのプレイで半分の7ターンまで進む展開には、両者とも好感触だった模様。


 これにてお開きとなった第2回無名戦士定例会。この後、近所の「養老の滝」にて樽ビールとホルモン焼きやモツ煮込みで怪気炎をあげる怪しすぎる我々であった。MiH信者の入江さんとGMT狂の管理人は、互いに古代戦ファンとして大いに語り、そんな2人をからかいつつも、en-chanはロシアン・キャンペーンのユニットを自作する猛者であったりする。こうして群馬の夜は更けていった。
 
次回開催は平成13年12月8日(土)に決定。ん?12月8日・・・ということは・・・!




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