第4回例会

手探りながらもスタートした「無名戦士」定例会であるが、ここに来て会員のモチベーションも上がり、ようやく軌道に乗ってきたぞ感満点で臨んだ第4回定例会であるが、そんな我々の熱気をよそに、群馬の世間では風邪が大流行。遠田氏のぼっちゃんsが熱発で大幅遅刻の連絡が届いた矢先に、今度は栗原氏の奥方が熱発でダウンというダブルパンチ。暗雲漂いまくる出だしとなった新年最初の例会であるが、延べ参加人数は12人ということで、用意した部屋が手狭に感じるほど。


まず第一卓では、『Successors(AH)』のプレイがスタート。これはアレクサンドロス大王が死去した後に、彼の部下達が広大な旧領の継承を巡って争った、いわゆる「後継者戦争」をテーマとした4人用マルチゲームである。基本的には同社の『Hannibal』同様の、戦略カード・システムであるが、マルチ向けに多少のアレンジを加えてある。各陣営は2人のMajor Generalと4人のMinor Generalを抱えており、このほかにデメトリオス、セレウコス、エウメネスが増援として登場する。また、バランス・オブ・パワーが強い影響を及ぼしていたことの再現であろうか、大会戦に敗れても再起が比較的容易で、仮にMajor Generalが全て戦死しても、Minor Generalによって、その陣営の指揮が引き継がれるところが、早々の脱落者を産まないと言う点で好感である。また、動員がおしなべて平均的であることから、後継者の軍隊にとって最重要だったファランクス兵の供給源である故国マケドニアの奪取が重要となる一方で、アレクサンドロス帝国の正統後継者の証たる大王の遺体そのものは、遙か東方のバビロンにあるなどと、巧妙に仕組まれたニクいゲームである。後継者戦争の概要については、いずれ戦史記事としてHP上にアップしてみようと考えているので、ここでは、実際のゲームの流れを追う事にする。ランダムで振り分けられた勢力分布は以下のとおりである。


山岸 アンティパトロス(マケドニア) ペイトン(メディア:イラン北部))
宮永 プトレマイオス(エジプト) クラテロス(キリキア)
神村 ペルディッカス(ペルシア) リュシマコス(トラキア)
善如寺 アンティゴノス(小アジア西部)  レオンナトス(ヘレスポントス)

プレイヤー1人が2人のMajor Generalを指揮することになる。実際には、独自の政治目標を追求して戦っていた男達であるが、そこまで再現することは不可能とは行かずとも、相当煩雑になることは確実だし、多人数ソロプレイになってしまうおそれがある。しかし、これだと、例えば山岸さんのように東西それぞれに勢力が真っ二つに割かれている不利がある代わりに、うまく手をつなげることができれば、バビロンの大王の遺体をマケドニアまで持ち帰って、己の正当性を誇示することも可能である(勝利への最短距離)。また、善ニョのように、領土が隣り合っている場合は、内線の利を活かして、積極的な動きが可能となる。実際、王族関係者や重要拠点が多い小アジアを序盤で押さえている強みは侮りがたい。


ゲーム全景 守備隊マーカー用のカップを忘れたためにちょっと煩雑

東地中海沿岸を早々に押さえた宮永勢力。旧ペルシアでも激しい領土争奪戦


 序盤はコイレ・シリアやフェニキア、シリアを固めて大海軍を建設した宮永陣営が優位に進めていたが、これを神村陣営が真正面から受けて立ったために膠着状態。これを打開するために宮永陣営は、クラテロスをキプロス島に派遣するが、決定的な突破口にはならず、そうこうしている内にシリアが離反して、攻勢モードが止まる。ギリシア方面ではカードによってアクティブとなった中立勢力のアイトリア同盟諸国がマケドニアまで侵攻し、迎撃に出たアンティパトロスを返り討ちにしてしまう大戦果。まさにラミア戦争の再現とも言えるこの状況で、ギリシア本土の山岸陣営は沈黙。ペイトンも、上部諸太守領からの脱出を謀る23,000のギリシア同盟兵に悩まされて、身動きがとれない状況。善ニョは早々にクレオパトラを擁して正統性を高めるも、リュシマコスとクラテロスの動きを見て、ここは静観を決める。
 2ターンにようやくキプロスが陥落。クラテロスとプトレマイオスはフェニキアに集結して、防衛戦を構築し、神村のペルディッカスの動きを牽制する。そしてターン後半にはセレウコスを引き当てた宮永陣営は、セレウコスをキリキア経由で小アジア方面に向かわせるとともに、マケドニア兵本隊を率いるクラテロスが一挙にバビロンを狙って、ペルシアに侵攻する。同じ頃、神村のペルディッカス本隊はダマスカス攻略に着手するも、あと一歩のところで断念。このターンでは、アジア方面での攻勢をあきらめて、動揺しているマケドニアでの勢力伸張を狙って、リュシマコスにペラを突かせる。ギリシア兵の離反運動に苦しめられた山岸さんのペイトンは、なんと銀盾隊(アルギュラスピデス)の支援を受けて、これを難なく撃破。カッパドキアにエウメネスの増援を得て、両者が合流し、カッパドキア‐アルメニアに強固な防衛ラインを築くのに成功する。しかし、再度アンティパトロスがラミア戦争に敗れて(普通あり得ない)、マケドニア方面での主導権を完全に喪失する。ちなみに、ここまで中立勢力のダイスを振っていたのは私であったが、あいも変わらぬダイス魔人的才能(註1)を全開で発揮している。我ながら恐ろしい。善ニョのアンティゴノスは、攻城塔「ヘレポリス」の建造に成功する。勇猛で鳴らす山岳民族のピシディア族も、ハイテク兵器の前にはなす術もなく、善ニョ陣営は地中海への関門を突破した。


註1 ダイス魔人:プレイヤーとしては極めて平凡な管理人宮永をして、手強いベテラン然とした雰囲気を漂わせている最大の要素。明らかに並はずれたダイス運によって、多くの対戦相手が地獄にたたき落とされている。例)「・・・ありゃ〜〜1が出ちゃったか。ま、いいか。次に6を2連発出せば(実現)」「(敵プレイヤーの猛攻を受けて劣勢に立たされた際に2d6を要求されて)見ちょれ!真っ黒の目(6ゾロ)を振りだしてくれるワッ!(実際に6ゾロ)」


今まさに風前の灯火のロードス。キプロスにもペイトンの上陸を許し、クラテロスは孤立。
完全に守勢にまわった宮永陣営


 3ターンは、善ニョ陣営の猛ラッシュで幕を開ける。まずはアンティゴノスの息子デメトリオスが、アレクサンドロスの妹クレオパトラを娶り、継承正統性に箔を付けると同時に、ロードス島に侵攻。史実でも、ロードス包囲に少なからぬ月日を費やし、ありとあらゆる攻城兵器を駆使してこれに挑んだデメトリオスではあるが、はからずも史実と同じ展開が再現されるに及び、ひとり身悶えする宮永をよそに、わずか2ラウンドでこれを陥落させたデメトリオス。まさにポリオルケテス(都市包囲者)の名にふさわしいぜ、などと称賛したのもつかの間。ロードス海軍とキリキア海賊を配下に加えた善ニョの艦隊戦力は、いつの間にか宮永陣営のそれを上回っており、Minor Generalに率いられた派遣部隊による、キュレネ上陸を許してしまったのである。主力のペルディッカスの誘引に失敗したクラテロスはペルシアに孤立し、コイレ・シリアも離反。キプロスにはペイトンに奪われ、宮永陣営は一歩後退。しかし、神村ペルディッカスも銀盾隊を擁する山岸エウメネスと対峙したまま身動きがとれず、シリア戦線は完全に膠着する。一方で、マケドニア・ギリシア方面では、アンティパトロスの後を受けた息子のカッサンドロスが、テッサロニケを妻として、正統性を主張。これまたはからずも史実をなぞる展開に、ゲームを忘れてただただ感動する俺。カッサンドロスは、ギリシア連合軍を撃破してラミア戦争を終結させ、ギリシア人の自治と自由を宣言して、中部ギリシアを勢力圏に組み込み、アテナイを包囲して、これを陥落させる。しかし、マケドニア本国にはリュシマコスが居座っているために、攻勢もここで頓挫。ここでアレクサンドロス4世の暗殺を宣言しなかったために、一応ゲームは終了となり、勝利ポイント計算の結果、善ニョがトップとなって投了する。
 『Hannibal』に比べてさえ、さらに史実内容が知られていない戦争をテーマにしているので、なかなかプレイするモチベーションに恵まれないゲームであるが、確固とした戦略目標を持たなければ、あっという間に勢いをなくす一方で、そう簡単にはゲームから脱落してしまわないようにはかられているゲームシステムは絶妙。ううむ。なんとしてもこの戦争を布教したい。


 さて、お昼前に到着した設楽さんと内田さんは、コマンド付録ゲームの「インド洋侵攻作戦」をプレイ。会場正面のホワイトボードをガタガタと動かしていたと思ったら、その理由はこういうわけ


ホワイトボードをついたてにしてのブラインドサーチ。なるほど!その手があった。(許可を得てませんので、お顔には墨を入れさせていただいております)

戦闘結果や索敵なども便利に記録


後日、この対戦については内田さんよりレポートをいただきましたので、以下、その抜粋を


 この日のブラインドサーチは随分と久しぶりのプレイでしたので、なかなか勘が取り戻せずに苦労しました。メガヘクス単位で索敵可能なのでかなり広範囲にわたって索敵機を飛ばすことができるのですが、その分布から機動部隊の所在を突き止められないようにしなければなりません。かと言って、索敵エリアを狭めて思いもかけない方角からの奇襲というのも癪ですし。このジレンマがブラインドサーチの醍醐味……なのでしょうか?
 この回のプレイでは、日本機動部隊の任務は「セイロン強襲」でした。機動部隊はマップ端から登場した後、インド洋北部からセイロンを目指します。そして、97艦爆の攻撃可能距離まで接近した後、空母5隻の全打撃力を使って都市空襲を実施しました。この都市空襲で機動部隊の位置が概ね捉まれたと考えたので、一旦ラングーン方面に避退します。そして、軽空母と合流してインド洋を南側から迂回してセイロン再攻撃へ向かうところで時間切れとなりました。ターン数でいうと、ちょうと折り返し点というところでしょうか。英軍は初期配置のアッヅからセイロン島北部へ移動して反撃の機会を伺っていたのだそうです。うーむ、何故に索敵で発見できなかったのだろうか。
 
結局のところ、モニター艦1隻と仮装巡洋艦1隻、重巡洋艦2隻を撃破したのにとどまりました。(モニター艦と仮装巡洋艦には勝利ポイントが記載されていないのですが……0点ってこと?)重巡洋艦2隻(例のドーセットシャーとコンウォールです)に対しては4次にもわたる空襲を仕掛けたのですが、どういうことか自慢の99艦爆の攻撃が1発も当らりませんでした。史実では80%もの命中率を誇っていた筈なのに……。結局、この2艦を撃破したのは97艦攻の水平爆撃でした。強力な打撃力を有する機動部隊を預かりながらこの体たらくですから、実質的には敗北だったのかもしれません。まちがいなく、後世の歴史家は「ヘボ提督」の烙印を押すことでしょう。とほほ。


 WBを使うこのアイディアなら『Across the Potomac(XTR)』や『バルバロッサの場合(TAC)』も視野に入ってきたりするわけで(本当か?)・・・
 『Successors』組が昼食で解散している頃、お子さんの病気で遅れていた遠田さんが到着。今日は午後から参加となる先生と、スコードリーダーのチュートリアル対戦を予定していたので、対戦相手のエアポケットに入ってしまった遠田さんは、昼食の合間に山岸さんをつかまえて「太平記(GJ)」をプレイ。詳細は遠田さんより寄せられたプレイレポートにて。


記念すべき「無名戦士」第1回例会で私の盟友栗原と対戦したアイテム、今回は昼食をとろうしている山岸君を無理やり引きずり込んでのプレイ、GJ版のプレイは初めて。昔からSS版で何回もプレイしているアイテムなので、やれば楽しい戦いが行われるはず・・・・でしたが、第1ターン、まず山岸尊氏にイニシアティブを取られると、南畿でほぼ同戦力の足利直義に新田義貞が山陽に敗走してしまう大波乱。そして、第2ターン、第3ターンとイニシアティブを公家は取り返すが、行動数はいずれも「2」(ダイス1!)畿内で戦力建て直しを図っていると、東北の北畠はいっこうに行動できず・・・第2ターンには、果敢に京都から北畿に出陣した楠正成が、一旦は尊氏を敗走させるが結局は第1ターンの戦力消耗が響いて、3ターンには戦死。しかも、ダイス支配チェックがほとんど成功しないありさま(3ターンになっても北畿の支配権はなし!)。京をわが手に治めた山岸尊氏に、大きく水を開けられてしまう。このとき、頼みの北畠はいまだ南関東で合戦中!。畿内の戦力をズタズタにされた後醍醐エンダはこれで投了。プレイタイム30分、対戦者の山岸君に悪いことをしてしまった。m(_ _)m


Slightly out of Focus


 お昼に到着した片山さんと新井さんは、ゲティスバーグの戦い(XTR/国通)をプレイ。私自身が、ナポレオニック〜南北戦争あたりに疎いので、なかなか手を出せずにいるアイテムではあるのだが、実際にプレイされているのを見ると、無性にうずくのがいいクセ悪いクセ。人がやっていないことをやるのが大好きな、目立ちたがり屋の私は、胸の奥で「Wahoo!(XTR:ゲティスバーグでもしも南軍か勝利していたら?)」をプレイしてやるぜという決意を密かに固めていたりするわけで……


南軍を率いる新井さんが優勢に進めながらも、実質的には引き分けで終わっていたとのこと

 また、別卓では第2回例会に参加いただいた中野さんと、金井さんとで「Paths of Glory(GMT)」がプレイされていた。これもなかなかプレイ機会に恵まれないまま眠っているゲームなのだが、いわゆるCard-Drivenシステムになじんできた会員も増えてきたので、いずれはヤリ込みゲームにしたいものだ。チュートリアルと言うこともあったが、お昼前後から始めて、閉会までの8時間ほどのプレイで、1916年秋まで達していたので、慣れれば一日で終わるゲームだろうか。いずれにしろ、ヨチヨチ歩きで立ち上げたSLGサークルでも、こういうゲームがプレイされるようになってきたのは感無量である。


連合軍が金井さん、同盟軍が中野さん
終盤の状況。バルカン方面の同盟軍が破綻寸前だったとのこと

 4時過ぎになって、ようやく会議を終えた先生が合流。かねてからの約束通り、遠田さんとのスコードリーダー対戦が実現。これも遠田さんからのレポートがあるので、そちらの報告より


シナリオ1(ロシア:先生、ドイツ:遠田)
私の本日のメインイベント、先生にスコードリーダーをレクチャーして「無名戦士」に戦術級をもっと広めたい。仕事の都合で到着が遅れた先生を4時まで待っての念願のプレイ。シナリオは、小さいが奥が深いと昔から名高い「シナリオ1(親衛赤軍の反撃)」。先生も初プレイなので、これがベストである。セットアップ、ロシア軍がマップ北側の石造建物4個、ドイツ軍がマップ南側の石造建物5個を占領している。勝利条件はロシア軍が敵の石造建物を2個占領するか、ゲーム終了時に負傷していない分隊数がロシア3:ドイツ1以上になっていれば勝利である。第1・2ターンこそ、ロシア軍のさえない射撃と、ドイツ軍のピンポイント射撃に一番東の建物をドイツに占領されてしまうほど苦しんだロシア軍であったが、マップ西に陣取る親衛赤軍の射撃があたりはじめて(ロシア軍はこのとき確か宮永代表の愛着ダイスにかえていた)から、これまでの鬱憤を晴らすかのような猛攻撃に転じ、逆にドイツの占領していた建物を2個占領してしまう大戦果。結局のところ、建物占領率でロシア2:ドイツ1に終わり、ロシアの優勢勝ちというところであった。このゲームの面白さを先生にも伝えることができて大いに満足である。次の機会では、立場を入れ替えて「シナリオ1」をもう一戦、その次には、「シナリオ2(トラクター工場)」の対戦を約束して、おひらきでした。


スコードリーダー シナリオ1 親衛赤軍の反撃
ちょうどこの前日に、映画「スターリングラード(Enemy at the Gate)」を
観たばかりという先生としては、モチベーション高まりまくりの様子
「いやぁ、レイチェル・ワイズの尻しか覚えてないっすよ(先生)」


 別の機会でも触れているが、この「先生」というプレイヤー、本当に学校の先生でありながら、異様なまでに好戦的で昔から知られた男である。もっとも、戦略的に破綻した状況に追い込まれると、必ずと言っていいほど最後の反撃に撃って出て、跡形もなく散るというパターンが多いうえに、増援で登場した部隊や予備を、全て激戦区に投入することがほとんどなため、マルチでは脱落が早い代わりに、標的となったプレイヤーも再起不能なほどの損害をこうむることがしばしのバランスブラスター。しかし、ツボにはまると、見たこともないような猛攻を見せてくれるなど、かなりのくせ者であるので、対戦相手にした場合には用心用心。今回は遠田さんが血祭りに上げられていたが、もしも先生がドイツ側だったとすれば、考えるだけでもオトロシイ。


 さて、予定では金井さんと「SPQR(GMT)」を予定していた管理人であるが、PoGが白熱しているのを邪魔するのも何なので、「Across Five Aprils(VG)」のチュートリアル・ソロプレイ。先のゲティスバーグに触発されたこともあり、ぜひこのゲームにもなじんでおきたいと考えてのことである。シナリオは「Pea Ridge」であるが、史実詳細はあまりよく分からないので割愛。このゲームは、日本版コマンドの第1号に掲載されていたレヴューを見て購入したものであるが、非常にシンプルなシステムなので、次回は相手を見つけてプレイしてみたい。


チットが枚数で両軍の質の差を表現。シャイローとゲティスバーグは大きな規模で再現している。


 この間に、内田さんを送っていった設楽さんが帰ってきたのを受けて、山岸・神村・善ニョ・設楽さんの4人で『Maharaja(AH?)』がプレイされる。紀元前から19世紀までを、1ターン100年で再現するマルチとのことで、さてはキワモノかっ!?と訝っていた私は、まさに浅学の徒のイデアとでもいうものか。それなりにらしい展開になりつつ、ゲーム的にはエキサイティングだったとのことで、さすが80年代マルチの第1人者山岸さんの推薦ゲームだけのことはある。


スコードリーダーを終えて、遠田さんが帰宅されたために、手すきになった先生と私とで、「SPQR(GMT)」をすることに決定。時間的には苦しいが、チュートリアルとして、今後につながれば充分とのことで、早速プレイ開始。シナリオは「ヘラクレアの戦い」で、前3世紀後半、共和政ローマの南進の矢面に立たされたギリシア人植民都市タレントゥムの要請を受けて、エペイロスから兵を連れてやってきたピュロスの軍が、ローマ軍とはじめて激突した戦いである。これは「SPQR」のモジュール「Pyrrihic Victory」所収のシナリオなのだが、プレイにはさらに別モジュール「War Elephant」が必要で、しかも代替ユニットではない完全版でプレイするためには、C3i付録のユニットが必要という、極めて敷居の高いシナリオである。そして、当然ながらシステムは、SPQRオリジナルではなく、Simple GBoHを使用。コマンド誌43号付録の「スパルタクス」のヴァリアントとして、このタレントゥム戦争を再現した「ピュロスの勝利((Pyrrihic Victory)」が用意されているので、いずれはそちらのリプレイも書いてみたい。


画面右手がピュロス軍 ファランクスvsレギオン

ローマ軍左翼騎兵隊の強襲!


 「どうも、敵の陣容は蛮族らしくないので、まずは様子を見よう」とは、ヘラクレアに臨むピュロス王の言葉であるが、確かに、ローマ軍団の陣容の厚さは伊達ではない。正面からぶつかり合っていたのでは、ピュロス軍が先に消耗してしまうのは目に見えている。そうでなくとも、潰走レベルが低いのだ。というわけで、まず先手をとったのはローマ軍。普通ならここでウェリテース(散兵)が前進して、ピュロス軍前衛を捕捉するのが古代戦の作法であるが、そんな前例にはお構いなしの先生は、左翼の騎兵隊にいきなり突撃させて、ピュロス軍の右翼に殺到する。これに対して、ピュロス軍は、右翼の騎兵隊を差し向けるとともに、両翼のクレタ弓兵を前進させて、ウェリテースに射撃を浴びせかける。数では同数の騎兵戦ではあるが、タレントゥム騎兵を除いては、いささかローマ騎兵に対して分が悪い同盟騎兵軍。次第に圧倒され、ついには壊滅の憂き目を見る。これにはいささかあわてたピュロスではあるが、残敵処理に追われてローマ騎兵が隊列を崩した隙に、単身、戦象部隊の指揮を執って、ローマ騎兵を圧殺。このシナリオでは、特別ルールによって、隊騎兵戦時における戦象部隊の優位が際だっている。実際、ローマ人が象を見たのはこれが初めてであると伝えられていることから、このシナリオでは騎兵相手に無敵の強みを発揮する。


戦象部隊に追い散らされたローマ騎兵

終了直前の図


 さて、緒戦の騎兵戦こそ引き分けに終わったローマ軍は、今度はウェリテースを前進させる。対するピュロス軍は、優秀なクレタ弓兵が両翼から弓を浴びせ、中央の軽装歩兵部隊は、渡河してくる敵を迎え撃つ。果たして、左翼では比較的順調に進んだローマ軍も、右翼では一部の部隊が撃破されたことで、コマンドラインがとぎれ、散発的な戦闘の果てに、統制を失って無力化する。これを好機と見て取ったピュロス軍は、メガクレス指揮のもとでファランクスを前進させ、先の戦象指揮のために右翼にまわっていたピュロスを、左翼の親衛騎兵隊まで戻して、攻勢準備を整える。
 
と、まあ、これからといった場面で、残念、時間切れになってしまったのだが、やはり緻密な会戦級は、スリリングで面白い。以下、先生と私の会話

先生「ねぇねぇ、部長(高校時代の部活の関係で、いまだにその時のままで呼ばれている)。これ面白かったんだけどさあ、ビザンツのってないの?」

宮永「あるよ」(Cataphract(GMT)

先生「それって、ベリサリウスとかナルセスが出るやつでしょ?」

宮永「早い話、ベリサリウスとかナルセスをやりたいんでしょ?」

先生「むちゃくちゃ強いんでしょ」

宮永「まあ、このシリーズの中じゃ、いちばんバランスが悪いんじゃないの?」

先生「でもいいから、ベリサリウスやらせて!」

宮永「先生らしいねぇ・・・」

こうして、また殺戮の修羅の宴が一つ・・・

 散会後は、先生・神村・善ニョ・中野さん・私で、ささやかな新年会を開いて、新年最初の例会は終了した。次回開催は、2月11日(月)。場所は同じく「文化むら」にて。




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