第10回例会

 参加人数は、夕方から参加した栗原さんを含めて延べ12人。今回は、群馬帰省中の渕上さんが参加(あ、一応敬称付でお呼びしてますが、直参の後輩については君付けです。あしからず)。今回は、全般的にヘビーなゲームがプレイされていた印象が強い。


 真っ先に会場入りした私と遠田氏は、「Ukraine'43」を対戦。遠田氏がドイツ軍、私がソ連軍である。いまさら語るまでもなく、'00〜'01にかけての東部戦線の話題をほぼ独占していた感のある、超ド級のSLGである。しかし、話題作であるがゆえに、逆にこれまでプレイに二の足を踏んできていたという意味で、私と遠田氏にとっては、あこがれのユニコーンである。今回は、拙宅での『Drive on Stalingrad』プレイにすっかりとしびれ、東部戦線熱が高まりまくっている中での熱病プレイとなった。


Ukraine'43 セットアップ終了


 本ゲームについては、コマンド36号に、「東部戦線崩壊の序曲」として、山口繁美氏の優れた紹介記事があるので、いまさらつらつらと説明することは省略。初期配置の恒久陣地帯は非常に防備が高いので、ソ連軍としては攻撃をためらってしまうところであるが、あまり慎重に過ぎて、得点都市を奪えないと、6ターンにもサドンデスを喫してしまう。おそらく6〜7ターンあたりで時間切れとなるだろうから、なんとか序盤でビエルゴロドとタガンロク、ハリコフを奪取して、精神的な勝利を獲得するつもりでいたのだが果たして。
 まず親衛戦車軍団で編成された第5戦車軍を中核とした攻撃部隊が、砲兵と空軍の支援を投入してビエルゴロドを制圧。まずは順調な滑り出しであったが、タガンロク攻略がまったく進まず、攻撃の先鋒を期待されていた打撃軍が完全に消耗。ついに終了までタガンロクが落ちることはなかった。それでも、ハリコフ正面のドイツ軍突出部とマップ北端周辺での波状攻撃でドイツ軍の守備隊をすりつぶし、ハリコフへの隣接に成功するが、戦車軍に攻勢を継続させるための部隊ローテーションがうまくいかず、ちぐはぐで不細工な攻撃をしては、いたずらに損害を増やすソ連軍。イジューム屈曲部など、一部で成功を収めるも、他の戦線で脅威を与え切れていないために、装甲軍団による強力な反撃を受けては撃退されるという悪循環。ついに7ターン、サドンデスを回避できないことを認めた私は、敗北を宣言して拳銃自殺を遂げる。
 ということで、非常に無様な負けっぷりを披露してしまったが、改めて先のコマンドの記事を読んでみると、いちいちうなづける事ばかりで、目からうろことはこのことか。ルールを読んでいるだけでは煩雑に思えた諸ルールも、プレイしながら、いちいちつぼにはまることばかりで、攻撃側の修正はコラムシフトだが、防御側は追加戦力であることとか、ソ連軍砲撃ユニットが移動すると混乱してしまうこととか、もう挙げていればキリがない。特に、マグニチュードの追加ダイスを振るときなど、本当にちょっとしためまいを起こしそうなほどである(大げさ)。


 片山さんと新井さんは、GD'41(The Gamers)をプレイ。今はなきThe Gamers(ううう)3枚看板(TCS/SCS/OCS)のひとつで、グロース・ドイッチュランド師団の、東部戦線の戦闘を扱った作戦戦術級ゲームである。私的には、TCSへのとっかかりとしてMatanikauをプレイしてやるぜと、遠田氏と示し合わせて買い求めたまではよかったが、ルールの厄介さにいまだに手を出せずにいる、これまた憧れのユニコーンである。両氏がプレイしていたのは、シナリオ2「ドイツ軍の攻撃」とのことで、まあ、そうだろうなといったネーミングからほとんどインスピレーションは沸かないが、経過は新井さんのドイツ軍が、多大な出血をしながらも、ソ連軍陣地を突破して戦術的勝利を達成していた。ところでこのGDシリーズは人気作だったとかで、40年、41年に続き、当然ながら42年以降のモジュールも予定されていたのだろうが、44年あたりがどのようなテーマ設定になるのか、興味深いところではあった。
 ということで、あまり当てにならない解説よりは、当事者のリポートのほうがいいだろうということで、以下、片山さんからいただいた投稿です。


 ドイツ軍が新井さんでソ連軍が片山です。セットアップ状況ですが、ドイツ軍は歩兵を前面に立て、戦線後方(戦線に砲撃が届く位置)に野砲スタックを置き、戦車も後方に置かれています。対してソ連軍は地雷原の直後に塹壕を作成し立て篭りました。ちなみにソ連軍には車両はありません。まず、ドイツ軍歩兵が塹壕から3ヘックスの位置に前進してきました。3ヘックスなのでソ連軍から臨機射撃が可能です。ソ連軍から臨機射撃が降り注ぎ、それなりに被害をだします。しかし、お返しとばかりにドイツ軍から、打ち返されます。(TCSでは臨機射撃に対しても打ち返しがあります。具体的には、移動→移動に対する臨機射撃→臨機射撃に対する臨機射撃、または、制圧射撃→制圧射撃に対する臨機射撃の2パターンです)。ドイツ軍の臨機射撃は後方に置かれた対戦車砲スタックにより行われ、こちらの砲に集中射撃を浴びせてきます(これがドイツ軍の狙いだったのです)。面白いようにこちらの砲が消し飛び、数ターン後にはソ連軍の砲はすべて消し飛んでしまいました。砲が消し飛んだタイミングを見計らい、L号突撃砲が我が物顔で突っ込んできます。こちらには、既に対抗手段がなくなっており成すすべもありません。歩兵と戦車のスタックは強力です。戦車の装甲により歩兵への地域射撃が緩和され、歩兵により敵歩兵からの戦車への対戦車ロールの成功率を落とせます。また、毎ターンのように、盤外からの砲撃支援がソ連軍の塹壕に降り注がれます。ソ連軍左翼が元々損耗していたこともあり、戦線に大きな穴が空き、そこを見計らい、ドイツのパイオニア小隊が地雷除去作業を行い、突破されました。こうなるとソ連軍左翼はどうにもなりません。結果、ソ連軍の左翼を守っていた大隊は、(士気チェックの目が良かった為)ゲームを通して一度も塹壕から後退(SYR)および降伏することなく全滅しました。まさに塹壕が彼ら全員の墓場となったのでした。 TCSをプレイしてみて、このシステムはコマンドと緒兵科連合に焦点が置かれていることが良く理解できました。歩兵と車両のスタックはお互い良い事ずくめだし、盤外砲撃も非常に重要です。また、迫撃砲が使えます。「あと少し火力があれば、カラムがあがるのに」というときは、迫撃砲の出番です。距離も迫撃砲からではなく観測兵からなので、この場合、射撃に加わっている歩兵が観測するので(距離による)デメリットなく火力が加えられます。 ASL(SL)もやったことあるのですが、私はTCSをお勧めします。何しろ、本当の戦場で戦えるのだから。


これが

こうなりました


 別卓では、金井さん主催の『Great War in Europe(XTR/ヨシカワ)』4人プレイが敢行されている。言うまでもなく、テッド・レイサーによる第1次大戦ビッグゲームであり、本家コマンドでも絶大な支持を受けた、傑作ゲームである(といいながら未プレイ。あくまで又聞き評価です)。今回、国通経由でライセンスされたものが発売されたもので、まあ、このあたりのゲームがライセンスされるとは、本当にいい時代が来たものである。が、私が所有するオリジナル版の資産価値がゼロになってしまったのも事実で、それはそれでチトつらい。そんなわけで、ライセンス版を購入したことを受けて、オリジナルは遠田氏の元に引き取られていった。ドナドナである。
 会場をつんざく奇声のほとんどがこの卓から聞こえていたこともあって、相当エキサイティングなプレイになっていたと思うが、ここは主催者金井さんからのリポートにて。


GWiE4人プレイの図:壮観である


 プレイヤー 英仏:山岸さん 露・セルビア:設楽さん独(西部):渕上さん 独・オーストリア(東部):金井ルールに関しては山岸さんは当日説明で、設楽さん、渕上さんにはルールの概要を送っておいたのですが...プレイ中に間違って要約していたことを悟りました。
 初期配置。 アルデンヌの南の国境線沿いに集中するフランス軍に対し、ドイツ軍のハイスタックがベルギー東部に。その前面にはわずかなベルギー軍とBEFしかない。少なくともアベビルの線までは行きたいね、と渕上さんにプレッシャーをかける私。東部では、司令部がないためロシア軍は直ちに動けないものの、とても東プロイセンを守るような兵力はドイツ軍にはない。とりあえず南方のオーストリア軍でちょっかいをかけつつ、ゲリラ戦のようになるのかなと思いつつセルビア軍の殲滅を図る(こちらもオーストリア軍に司令部はないため包囲できない)。
 移動できないベルギー軍を蹴散らしオステンドを占領するなど順調に前進していた西部戦線のドイツ軍だが、フランス軍が前線に出てくると、さすがにベテランらしく山岸さん率いるフランス軍が早速補給線切断に出た。司令部を含む数スタックが消滅(このゲームでは片方のプレイヤーの戦闘が終わると補給判定があり、補給切れは直ちにユニット除去)。シュリーフェンプランはあっけなく潰えた。一方東部でもベオグラードへのオーストリア軍の攻撃は1:2すら立たず、自動で4:0の結果となり、補充面でも心許ないオーストリア軍には心理的な打撃が大きく、ロシア方面でも全面撤退を行う。
 その後、タンネンベルクを狙ってターンオーバー(先攻・後攻の変更。基本的に中央列強軍の選択)を行うが、雨による移動力消費を計算に入れていなかったことに気づき、単なる正面攻撃に終わってしまった。おまけに西部ではフランス軍のダブルムーブにより再びドイツ軍の2箇スタックが除去された。補給範囲のルールまちがい(司令部の補給は隣接のみだが、町・都市と同じ4ヘクスと思っていた)に気づいたこともあり、私はすっかり士気崩壊してしまったが、不屈の闘志を持つ渕上さんの申し出によりプレイは続行された。
 その後は両戦線とも戦線を張り合い、消耗戦が続き、西部南方ではMulhauseがフランス軍に占領されシュトラスブルクとアラスあたり焦点となっていたらしい。東部では増援で厚みを増したオーストリア軍とロシア軍がぶつかったが、戦闘は申し訳程度で膠着、セルビア軍が司令部ごと吹き飛んだことが唯一の好材料だが、これもセルビア軍を再建するには司令部はとっとと逃げた方がよいのだが、ルールに慣れていないがためであり、プレイの言い出しっぺとしては好ましいものではない。結局、1914年末で終了した。西部では補充によりドイツ軍も回復したが、英仏も態勢を整えつつあり、東部ではルージ南方の森林あたりで反撃を開始したものの、タンネンベルクのような包囲戦をねらえる状況でなくケーニヒスベルクも増援を入れないかぎり陥落寸前であった。
 補給切れは除去と厳しいので、補給関係のルール間違いは致命的になりかねず、全体として正しいルールでプレイできなかったのが残念だった。しかし当初考えていたよりはサクサク進み、ユニット数の割にビッグゲームという印象はない。なんとか再プレイしたいゲームの一つとなった。


ベルギー方面のドイツ軍戦線に大穴が!


このように、今回は大きなゲームがプレイされているので、人の動きはあまりない。目立ったところでは、宮永をサドンデスで降した遠田氏が、栗原氏と『朝鮮戦争(EP/サンセット)』を対戦。栗原・北朝鮮軍と遠田・国連軍の激突であったが、北朝鮮(一部団体的には朝鮮共和国)の慎重な攻めのために、部隊被害は大きいものの、水原あたりで膠着していたようだ。


 一方、私はちょっと遅れてきた先生と、前回に引き続き『Justinian(GMT)』を対戦。先生がビザンツ帝国である。デフォルトのアフリカ方面軍オ指揮官の無能を見て取ったヴァンダル族が、一気呵成にエジプトになだれ込んでナイル河口部を制圧。悪いことは続くもので、属州エジプトで帝国への反乱が起こり、これが独立。エジプトを完全に喪失した帝国であった。しかし、前回の反省から、多方面での戦闘を避けた先生は、ナルセス率いるスペイン方面軍を北アフリカのヴァンダル族にさしむけて、これを撃破。しかし、すでに時間は5ターンで、東ゴート族は戦力限界近くまで巨大化し、ペルシアも怪しいほどヒート!7ターン終了時点で、先生からギブアップ。ローマにとっては、ちょっと勝利条件がきついかもしれないが、そもそもの史実が劇的過ぎたので、やむをえないところか。


 善如寺君と神村君は、日露戦争(EP/国通)をチュートリアルプレイ。若干、長考傾向の神村君のペースにあわず、会場をふらふらしていることが多かった善如寺君であるが、そのボッケモン然とした風体でのし歩くさまに、「どっかでぇ、ゆっさ(戦)でごわすか」ととぼける大山司令官の面影がダブった。


 まあ、そんなわけで日露戦争が投了した後は、日露組とGWiE組が合流して、英雄三国志(HJ)をプレイ。シナリオは不明だが、山岸氏の曹操&馬騰に対して、神村君の袁照が忠誠を誓い続けたことで、信じがたいほどの馴れ合いプレイが展開されていた様子。もしここに先生がいて、曹操を率いていれば、忠誠を誓うのろけ者に対しては、「匈奴を征伐せよ!」とか、「三韓を獲れ!獲ったら漢帝国に献上せよ!」とか、そんなことばかり要求した挙句の大戦争は必至である。また、孫策あたりを率いていれば、10戦力そこそこで長江を渡り、南郡あたりで敵将を巻き込んでの玉砕戦を展開すること間違いなしである。



 最後に、渕上さんから、大学のサークル(かな?)で製作したSLG同人誌「Stack Over」の第1巻と第2巻を頂戴した。原稿持ちよりの同人誌であるが、体裁も綺麗で、特にナポレオニック関係の記事が充実していたのが印象的である。
 次回例会は9月23日(月)。




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