第13回例会

 雨がふりそぼる寒い日曜日であったが、参加人数は12名。人数の割にはプレイされていたゲームが多く、全体把握は非常に困難であった。うれしい悲鳴である。

 今回は、

 1)Prussia's Glory(GMT)集中プレイ 「砲兵は戦場の女神か」

 2)無名戦士のボブ・サップ「善如寺K1」のCampaign for Guadalcanal講座 〜俺様のレキシントンで、お前のネズミをヒィヒィ言わせたる〜

 という企画を事前に立ち上げておいたのだが、果たしてプログリには8名が参加し、午前中から同時に4卓立つという超豪華集中プレイとなった。

(1) ツォルンドルフ・バトルシナリオ  片山:ロシア軍 先生:プロイセン軍

第1卓は、Pre-WW1のエキスパート、片山さんによる先生再教育プログラムである。ここでも攻撃的な先生はプロイセン選択でわがままを炸裂させたのか!と思いきや、そのあたりはなにかしらの配慮もあったようで、詳細は片山さんからの以下のレポートで。


 プレー開始 プロイセンの栄光4面対決の1つとして、先生が率いるプロイセン軍と戦うこととなった。先生は初めてこのゲームをプレイするようで、比較的バランスのとれている当シナリオのバトルシナリオ(配置が決まっているのでスムーズに開始できる)に決定した。私はこのシナリオを一度プロイセン軍でプレイしたことがあり、ロシア軍をやってみたかったのと、先生が攻撃的な性格ということもあり、この陣営で初めさせていただいた。
 序盤(1〜3ターン) プロイセン軍は、何の問題も無く指揮を確立し両翼の騎兵が突出してくる。我が軍は、第1ターン目にいきなり歩兵、騎兵とも動きが鈍く(両方ともチェック失敗)正面の森に入ることができないため、前進をあきらめる。2ターン目には、早速両翼の騎兵が半壊させられ、壊走の山を築く。これの手当てとして、右翼は、歩兵と共に残存騎兵を後退させ Mietzel河の恩恵(渡る事ができない)を利用し戦線を縮小、と共に残存騎兵を左翼にまわすことにした。序盤は騎兵の磨り潰し合い(と言ってもロシア軍に分が悪い)に終始。
 中盤(4〜6ターン) ロシア軍の中央から右翼にかけて、歩兵と砲兵のスタック6個ほどにより敵のザイドリッツ騎兵が攻める機を逸していた。左翼の騎兵も半壊しつつもどうにか持ちこたえていたが、左翼が突破されるのも時間の問題と判断し、正面歩兵を徐々に後退させた。意図的にこちらの前面歩兵に突出部を作った。プロイセン軍はそれに食いついてきてくれたのだが、こちらも砲1ユニットと歩兵3ステップほど失い後退。勢いづいたプロイセン軍は戦闘後前進後にモメンタム攻撃を仕掛けてきた。モメンタムに支援された他の攻撃に対し、危うく2スタック目のロストは回避し、逆に前進してきた歩兵は返り討ちに。結局、双方それなりに損害を出し、痛い目を見たプロイセン軍が前面の歩兵に白兵戦を仕掛けてくることは2度となかった。
 終盤(7〜9ターン) 敵は遊兵となっていたほぼ無傷のザイドリッツ騎兵をわが軍の左翼に投入してきた。これで両軍の残存騎兵が、わが軍の左翼に終結。壮絶な磨り潰し合いとなった。左翼の危機に対し、前面を後退させ余分な歩兵を左翼に回すことにし、戦線を再度後退。戦闘後に混乱しているザイドリッツ騎兵に対し歩兵で白兵戦し撃退に成功。だが、こちらが歩兵のため止めをさす前に後退されてしまった。


片山−先生対戦の最終盤の模様


 お互い、砲兵の戦線のため正面での攻勢を諦め、騎兵の大損耗(ロシア軍の騎兵は全軍かき集めても3〜5ステップ程度しかのこっていなかった)のため9ターン終了により終了となった。終了時の士気は、プロシア軍9〜10、ロシア軍15〜17程度だったと思う。勝利条件的を見るとロシア軍の最低限勝利となる。
 Tsarへの言い訳 この度の消極的な作戦についての理由。

1.前回のプロイセン軍のプレイにより、ロシア軍の壊滅を目のあたりにしており、攻勢に二の足を踏んでしまった。

2.対戦相手の武勇を恐れてしまった。もっと攻撃してくれるかと思ったのだが、逆に陣地を固めすぎ相手の手が出せない状態にしてしまった(結果的にもっと隙を見せれば良かった)。

 とは言っても、初プレイ(おまけにルールも読まれていないようでしたのでチュートリアルに近い状態)でここまで健闘された先生は賞賛に値する。


 非常に丁寧なレポートをいただきまして、大変感謝しております。先生からの後日談ですが、「宮永との馴れ合いプレイじゃなく、初めて対戦する方だったので、恥を掻きたくない一心で慎重にプレイした。このホビーの奥深さを初めて思い知らされた」とのこと。普段は、彼のヤンチャなプレイを笑って許す私ですが、今回はそうもいかず、かなり緊張したみたいです。

(2) ツォルンドルフ・バトルシナリオ 宮永:ロシア軍 大森:プロイセン軍

 第2卓は、私と大森さんの対戦。私はルール確認プレイをしたことがあるだけで、ほとんど初対戦同様。大森さんも、出戻り復帰3ヶ月で初プレイ。当然、荒れまくる予感満点だったわけだが、どうしてそうして。非常にスリリングな対戦となった。
 (序盤)ロシア軍右翼側の地形が騎兵戦に向かないと考えた大森さんは、ザイドリッツの騎兵部隊を自軍右翼の開けた地形に差し向ける。ロシア軍は、歩兵部隊を前面の森に入れ、可能な限り地形を活かしながら、前進して布陣する。これに対して正面から歩兵で突進したプロイセン軍は、待ち構えていた砲兵からの猛射を受けて、大出血。あわてて陣を引き、立て直しを図る。
 (中盤)ザイドリッツを主戦場から引き剥がすために、ロシア軍左翼のコサック騎兵は、ザイドリッツのさらに外側に迂回して、様子をうかがう。先の中央からの強襲に失敗したプロイセン軍は、砲兵を前進させて、ロシア軍戦列のすり潰しを企てるが、第1線と第2線の砲列にできた隙間に、ロシア軍右翼の騎兵隊が突っ込み、単独でいた砲兵ユニット3つを、完全ステップで捕獲してしまう。さらに騎兵部隊は攻撃を続け、もう1門の砲兵ユニットを半壊させる大戦果。ザイドリッツ不在のツケか。しかし、敵陣深くに入りすぎた騎兵隊は、予備部隊と歩兵から挟撃を受けて壊滅。


第2ターン開始の状況
ザイドリッツが戦線後方を迂回し、コサックはこれに対して延翼展開


 (終盤)ザイドリッツの誘引を図ったコサック騎兵隊だが、指揮系統の不良でまごまごしているうちに、ザイドリッツに蹂躙されて、わずか2ターンで壊滅。特別ルールで、コサック騎兵はスタック制限を非常に厳しく制限されているので、ザイドリッツの超優秀な騎兵部隊にはまったく抗すべくもないことが判明。機動兵力を完全に喪失したロシア軍は、砲列の後ろに部隊を下げる。プロイセンもこれを押し切る兵力はなく、中央でにらみ合いが続いたまま、不毛な砲撃の応酬が続くが、ここでも宮○ダイスが炸裂しまくり、プロイセン軍は4ステップを喪失。これが勝敗の決め手となり、ロシア軍の限定的勝利となった。

(3) ロイテン・バトルシナリオ 中野:プロイセン軍 山岸:オーストリア軍

 ロイテンの戦いのヒストリカルノートは、いずれ掲載されるであろうGame Journal誌のフリードリヒ大王関連記事におまかせするとして、こちらでは、それぞれ初対戦となる中野さんと山岸さんの対戦。私自身がこのあたりの展開に明るくないので、展開はまったくわからなかったが、それでも「フリードリヒ大王戦死」という、あまりといえばあまりな一報は飛び込んできた。大王を殺した中野さんであるが、昨夜の忘年会が祟ったか!?


まだまだ序盤。大王も健在


(4) ロイテン・バトルシナリオ 神村:プロイセン軍 金井:オーストリア軍

 こちらも第1卓に続き、Pre-WW1の刺客・金井さんによる初心者教育プレイ。金井さんは、このゲームを複数回プレイしているとのことで、他の卓からの質問攻めにも快く応じていただきました。では、金井さんからのレポートを。


 プロシアの栄光4面プレイの一角として、ロイテンのバトルシナリオをプレイ。1ターン目、プロイセン軍は西方に広がっていた騎兵もSagschutz西の森の後方に集結してボール玉のような陣形になった。森にいたオーストリア軍左翼のババリア・ヴュルテンブルク兵はもとより士気値3で耐えられるはずもなく壊走。しかしプロイセン軍も近接戦闘前の砲撃で3*の損害を受けており、やはりこのゲームの隣接砲撃は恐ろしい。
 一方オーストリア軍は6面体1個2以下で成功の歩兵の指揮判定に成功してロイテン南西の森あたりまで前進。2ターン目にプロイセンが森の西側に前進して、これ以降、Sagschutz村からこの森を経てRadaxdorfあたりまでが弓なりの戦線となる。 
 2ターン目以降もオーストリア軍左翼のババリア・ヴュルテンブルク兵は士気が低いため次々と壊走する。ステップロスすると士気が1とか2で回復しにくい上に、ロイテンに向けて壊走するよう特別ルールで定められているため、団子状態となり壊走ユニット同士が隣接状態だったり敵ユニットからあまり遠ざかれなかったりでほとんどが回復しない。しかし、右翼の部隊がうまいこと縦隊になれたため、戦線が崩れる前に左翼に歩兵、右翼に騎兵を流し込むことができて、なんとか先の戦線を維持する。    
 戦線が膠着して、互いに不利な比での攻撃や砲兵の隣接射撃で損害が続出。ユニットが軍士気テーブルに積まれていくが、壊走となるユニットは圧倒的にオーストリア軍が多く、その分の戦闘成功数の差が出てプロイセンは軍士気が落ちない。それでも4ターン目になると、一番遠くにいたArenber指揮の予備ウイングがオーストリア軍右翼に到着し、プロイセン軍左翼の裏側に回り込んだり、ステップロスが累積したりで除去ユニットがかさみ、プロイセン軍の損害の士気も急に落ち始めるが、時すでに遅し。オーストリア軍はついに軍士気が1にまで落ち、士気阻喪してしまった。


ユニットを斜めに置くのは、ナポレオニックの癖なのだそうで(金井さん)


 最終の5ターン目、互いに余力がなくなっていたのは他のテーブルと同じだと思う。互いに混乱・壊走ユニットだらけのなか、さらに殴り合うが、回復判定で差が出て、プロイセン軍はかなりのユニットが回復したが、オーストリア軍はサイコロを振るだけ無駄なユニットがごろごろしている。最終的にプロイセンの軍士気は8。士気阻喪判定まで2ユニット届かなかった。オーストリアは−6でなんとか士気崩壊には至らず。勝利得点は+7で、プロイセン軍最低限勝利となった。あそこでああしていればとか、サイの目がこうだったらと思うのはきっとお互い様で、いい勝負だったと思う。
 隣りのテーブルの同じロイテン(バトルシナリオ)は、フリードリヒの戦死もあってオーストリア決定的勝利(軍士気はオーストリア士気崩壊、プロイセン士気阻喪と相打ち模様)となっていた。30年戦争のリュッツェンみたいだ。プロイセンの一方的勝利にならないのは、やはり史実よりオーストリア軍の対応がよくなるからだろうか。


 七年戦争があちらこちらで黙示録的状況を現出している間に、別卓では善如寺君による『Campaign for Guadalcanal』講座が開かれていた。このゲームは、国際通信社の自作ゲーム支援企画として出されたもので、SLG初心者の善如寺君が初めて購入したゲームでもある。しかし、いままでプレイしたゲームとはかなり毛色が違っていて、ルールの読解に苦戦していたので、例会数日前に私がチュートリアルしておいたのである。非常に手軽ながら、機動艦隊を中心とするやりとりがスリリングで、大変気に入ったとのことで、ぜひ無名戦士にもこのゲームを布教したいという、善如寺君の希望で立ち上がった企画である。


誰か、珊瑚海を使った必勝法を教えてくれ!(善如寺談)


 私は他のゲームにかかりきりだったので詳細は分からなかったが、

第1戦 善如寺(日本軍) vs 栗原(アメリカ軍)

第2戦 善如寺(アメリカ軍) vs 大森(日本軍)

 は、ともに善如寺君が勝利して面目を果たしていた模様。

第3戦 神村(日本軍) vs 栗原(アメリカ軍)

 では、善如寺君がルールサポートに回る。当会屈指の長考プレイヤーの激突ということもあって、2時間を越える熱戦となり、ついに決着がつかなかった。横目で見る限り、最終ターンになっても日本海軍の空母が無傷という、南雲に爪の垢を煎じて飲ませたくなるような奇跡的運用術を駆使していた神村君だったが、艦載機が消耗しきって0ユニットというオチに泣けた。機動艦隊と水上艦隊が激突した場合の処理が分からないという意見があったが、さて、どこかにエラッタ・Q&Aがあったかな?


 午後から参加の遠田さんは、これまたいつものように「BIG野球(89年度版)」だけを携えて遊びに来ていた細○さんをつかまえて、『Sink the Bismark!:戦艦ビスマルクを撃沈せよ!(国通)』をプレイ。細○さんがドイツ海軍、遠田さんが連合軍である。


GUIのような各種チャートのデザインが印象的だった、国通コマンド版のマップ


 ゲームは中盤、イギリス海軍の重巡ノフォークとサフォークがビスマルクを発見するも、返り討ちにあって2隻とも撃沈。続いて、ビクトリアスから発艦したグラディエーター(?)が、見事プリンツ・オイゲンに魚雷を命中させて3ポイントのダメージを与えるが、優れたダメージコントロールでみるみる修復してしまうというお手上げの展開。連合軍の哨戒ラインをほぼ無傷で突破したドイツ艦隊は、目の前にうようよしている輸送船団になど目もくれず、重巡2隻の撃沈ポイントの勝ち逃げを狙って、みごと盤外突破に成功。大西洋は蜘蛛の子を散らしたような騒ぎになることだろう。


 午前中、あろうことか彼女同伴で現れたK野氏は、昼食で中座した後、午後に再登場。ゲームは一切プレイしていなかったが、貴重な各種コレクションを大量放出していたりもして。どうしてそんなに気前よくゲームをばら撒いてしまえるのかと尋ねたところ、「僕が持っていても絶対プレイしないゲームだけれど、これだけ熱心にやっている会員さんたちなら、きっと役立ててくれるだろうから」とのありがたいお言葉。


SLG史上もっとも難しいゲームと言われ続けているジャック・ラディ御大の
Black Sea Black Death

こちらはWhite Deathのマップ
もちろんカウンター未切です


 いつも何かしらお土産を持ってきてくださるK野氏であるが、今回のプレゼントは次のとおり。

入江:Black Sea Black Death(PWG)/White Death(GDW)/Crisis in the Ukraine(Centurion Game)

宮永:Air Bridge to Victory(GMT)

遠田:The Longest Day(AH)

 ただし、入江さんのBlack Sea〜については、来年夏までに翻訳を終え、来年内にプレイすること(笑)が義務付けられたことを公開いたします(半分マジ)。


 さて、Prussia's Glory集中プレイを終えた私は、一息入れたあとで、先生とFor the People(GMT)を対戦。ずっとむかしからルール翻訳を公言しておきながら、のびのびになっていた、昨今大流行のカードドリブンによる南北戦争キャンペーンゲームである。英文で30ページを超えるルール訳となると、なかなか情熱だけではどうにもならない事情があったのだが、YSGAさんに遊びに行ったときに、山内さんからいただいたAH版ルール訳を思い出し、これをベースに一挙に翻訳を進めてしまったという次第である。
 カードドリブンもかなりメジャーな(というより主流?)ゲームシステムとなっているので、いまさらの説明は割愛。FtPの特色としては、騎兵旅団・師団・軍団・軍という組織の区別が厳密なことである。将軍ユニットと部隊ユニット(SP)のスタック(これを軍団と呼ぶ)に2/3の作戦カードを投入すると軍に昇格する。軍になると、組織が巨大化して、確かに移動力などは落ちるのだが、自身で移動経路に支配マーカーを置いていくことができるので、敵領土への侵攻には絶対不可欠である。
 また、戦闘結果がかなり穏やかに設定されているので、すくなくとも軍レベルでの衝突や、2:1を超えない範囲の戦闘で、ただ一度のダイス判定でどちらかが壊滅するというような事態は、まず発生しない。テーマそのものが近代戦に差し掛かっているので、前線の消耗を後方支援が上回るという、WW1現象の萌芽を反映しているのであろう。同じカードドリブンの「Thirty Years War(GMT)」などで、わかっていても、スウェーデン正規兵ユニットが消耗すると、プレイモラルがぐらつくという、心の弱い私には最高のシステムである。その分、秋期ターンが終わったあとの消耗判定は、かなり厳しいので、毎ターン、山ほどの部隊を入れ替えする必要が生じる。
 このゲームの目的は、敵陣営の政治意志を挫くことにある。最初は両陣営とも100ポイントずつの政治意志(SW)をもっているのだが、重要拠点の陥落や、大規模戦闘の敗北、カードのイベントなどで増減する。しかし、基本的には下げ基調で推移するポイントなので、これをにらみながら、カードを作戦とイベントのどちらで使用するかという判断を重ねてゆくところに、このゲームの妙味がある。特に、各将軍は「政治影響力」というファクターを有しており、軍司令官という地位をめぐっては、この要素を無視することは許されない。つまり、あるスタックで軍を建設するときに、そのスタック内の将軍のうち、もっとも政治影響力が大きい将軍が選ばれなかった場合には、SWペナルティが発生するのみならず、マップ上にも他に軍司令官に任命されていない大きな影響力を持つ将軍がいれば、さらに追加のSWペナルティが発生するのである。そして、軍司令官を解任するときには、ほぼ自動的に、その将軍の影響力に等しいSWが失われてしまう。たとえば北軍のMcClellanを解任すれば、それだけで10SWの喪失である。このように各将軍に政治影響力を持たせることで、これまでの南北戦争モノで比較的ありがちだった、McClellanやPopeを戦線のはるか後方で遊ばせておくという逃げ手が打ちにくくなっている。


For the People(GMT)
ミズーリ州以東が描かれている


 どの程度時間がかかるか不明だったのと、初プレイということもあり、とりあえずできるところまでキャンペーンをプレイ。1861年から始まる(1年3ターン)が、この年は両軍ともほとんど動員に明け暮れていたという前提があり、ここで勝敗を決するような大会戦が発生しないように、カード枚数が抑えられている。北軍は先生、南軍すなわちジェファーソン・デイヴィスは宮永である。
 第2ターンに、北軍はポトマック軍(マクドウェル)とミズーリ軍(ロゼクラン;バンクス)の2個軍を建設。これに対して、南軍は北ヴァージニア軍(A.S.ジョンストン)を編成する。北軍の積極的なOCプレイによって、ミズーリ州とウェストヴァージニア州の支配を確立された上に、大戦役カードによって、東西両面から押しまくられる南軍だが、指揮官の差に助けられ、この攻勢をことごとく打ち破ることに成功。逆に、第3ターン、西部軍(Van Dorn)を編成した南軍は、ケンタッキー州に兵力を流し込んで、鉄道線をすべて遮断する。


ミズーリ・ケンタッキー戦線の図
あと1年はVicksburgに引かずに済むぞ!(デイヴィス)


 実は、第3ターンの増援手順は特別ルールで制限されているということを忘れてしまい、ここからのプレイはまったく参考にならないのだが、一応の報告だけ。先の大戦役でおもうような戦果が挙げられなかった北軍は、ミズーリ軍を突出した形で残してしまっており、カードの関係で動かすことができず、これを見た南軍の西部軍に連絡線をカットされてしまう。また、J.ジョンストンに司令官を交代した北ヴァージニア軍が、ワシントンを迂回して、マクレランの軍団を撃破し、ワシントンを孤立寸前まで追い込むことに成功する。しかし、ここで妨害カードを食らって、虎の子の大戦役カードを捨てさせられた南軍も手詰まりとなり、時間切れで投了となった。はっきりと宣言しよう。

「おもしろい!」 文句なしの 傑作である!

 テーマだけで敬遠するプレイヤーが多い18・19世紀モノのゲームであるが、未熟な近代戦の面白さを知らずに通り過ぎてしまうのは、あまりにも惜し過ぎる。できるかぎり、こうしたテーマのゲームを紹介して、プレイヤーを増やすことができれば望外の喜びである。
 とまあ、私が「ダニー・ボーイ」を口ずさみながら(なぜ?)、ディキシーランドの自由のためにヤンキーをヒィヒィ言わしている間に、隣の卓では片山さんと大森さんの間で、ZERO!(GMT)がプレイされていた。この空戦カードゲームについては、私はほとんど不案内なので、ここも片山さんのレポートで。


ZERO! 珊瑚海海戦
日本軍の報告

チュートリアル:宮永さんとZorndorfのプレイを終えていた大森さんを捕まえZEROをプレイすることになった。事前にチュートリアルとして2回ほどドッグファイトを行い、手短なキャンペーンを希望されていたため、海戦キャンペーン(敵空母上空まで侵入すると結構あっさり終わる)の1つ珊瑚海海戦を行った。
 1ターン お互い空母機動部隊の艦隊距離(近、中、長)とストライク(大規模攻勢、陸上爆撃(ポートモレスビーまたは上陸部隊)、小規模攻勢、攻勢なし。なお左にいけばいくほど空母機動部隊のCAP(上空直衛)が減少)を選択。1ターン目は、お互い中距離で、日本軍はポートモレスビー攻撃、連合軍は大規模攻勢を選択。その後、お互いの手を確認した上で増援を1つ選択する。日本軍は、祥鳳攻撃(連合軍の攻撃を祥鳳へ向けさせてしまう)、連合軍はレーダ(相手の攻撃部隊がCAPにさらされる時間がながくなる)を選択。連合軍の攻勢は、祥鳳を我が機動部隊と間違えストライク。結果8VPを獲得するが、日本軍機動部隊は無傷となる。替わって、日本軍の攻勢に移る。ポートモレスビーのCAPはランダムに判定され結果はCAPなしとなり、連合軍が選んだレーダは全く意味をなさなくなってしまった。敵機と遭遇することなく零戦と99艦爆が爆撃、こちらはほぼ無傷でポートモレスビーを壊滅させた。



 2ターン 艦隊距離は、記憶から抜けてしまった。ストライクは日本軍は大規模攻勢、連合軍は上陸部隊攻撃を選択した。その後、増援として日本軍は、爆撃機の攻撃(空母機動部隊の攻撃前に爆撃機により敵機動部隊を空襲できる)、連合軍は偵察任務(偵察機を飛ばし、生き延びたターン数により増援が得られる)を選択した。連合軍が先にストライクを実施する。まず偵察任務を行う。SBDが1機飛び、零戦1機が迎撃に飛ぶ。結果、零戦に攻撃カードが殆ど来なかった(機関砲が故障でもしたのか)為、SBDは無事生還。連合軍に鬼のような増援が付く。増援も加え、F4F2機、爆撃機(SBD、 TBD)が合わせて5機(計7機)と大部隊となった。上陸部隊のCAPもまたランダム判定である。そして不運なことに、CAPなし。最初の3機程度の爆撃で十分だったと記憶している。当然、上陸部隊は壊滅。次にこちらからの攻勢に移る。まず、爆撃機の攻撃により96陸攻の爆撃(なぜか雷撃不可)を行う。相手は空母機動部隊のCAPであるF4F2機。1機は敵上空前に損傷状態にさせられ、もう1機も敵の対空射撃により損傷状態へ。96陸攻は損傷すると爆撃能力が無くなってしまうので、ただやられに行っただけとなる。そこで F4Fが止めを刺そうと襲い掛かったことが不運の始まりだった(結果的に放っておいた方が良かった)。F4Fの攻撃に対し、96陸攻からの機銃がクリティカルヒットし、F4Fは回避不能だったらしくリーダ機が損傷状態となった。おかげで、96陸攻2機とも撃墜されたのだが。この増援の良いところは、 CAPの損傷状態が、その直後の大規模攻勢にも引き継がれる点である。今度は日本機動部隊からの大規模攻勢が襲い掛かる。零戦2機、99艦爆1機、97艦攻2機の編隊であった。CAPのF4Fの内1機は瞬く間に零戦に葬られ、攻撃隊は全機無傷のまま敵機動部隊上空に侵入。対空射撃で若干被害を受けたものの問題なくストライクを実行した。99艦爆の超低空への急降下爆撃によりHIT 、Directで5ダメージ、97艦攻の魚雷が2本ともDirect(計16ダメージ)。すべて、命中というすざまじい結果(計21ダメージ。F4F2機損失も加えれば23ダメージ)に、連合軍機動部隊は海の藻屑と化したのであった。
 空母キャンペーンも3度目だったので、増援の使い方もわかってきた。対戦相手の方のリソースの選択については、初めてのプレイのため適切なものではなかったのだが、(指摘後)本人の希望により、そのまま行ってみた。空母戦は増援の選択が結構カギを握ると思う。


 おおっ!ただのカードゲームかと思いきや、かなり深い遊び方ができるようで!せっかく、C3I所収のカードもすべて所有しているのだから、私もプレイ戦列に加わればよいのだけれど、MtGに十数万の現ナマをぶち込んで以来、カードゲームには根源的な恐怖が・・・いや、コレクタブル・カードゲームじゃないことは承知していますけど。大森さんも、出戻り復帰から3ヶ月ですが、いろいろと対戦を重ねて、かなりリハビリが進んできた模様です。

 さて、報告が長くなりました。他にもいくつかプレイされていたゲームがあるので、対戦者と結果を簡単に。

The korean War(エポック/サンセット) 山岸:北朝鮮軍 遠田:国連軍

「金日成ラインを超えられなーい!」(山岸談)

「戦車連隊の攻撃がちぐはぐで助かりました。それにしてもAir-Zocがこんなに強烈なゲームは、他にはないです(遠田談)」

ドイツ戦車軍団 エル・アラメイン(エポック/国通) 入江 栗原 それぞれ陣営を変えて2回対戦

2度とも栗原さん勝利

ドイツ戦車軍団 ハリコフ(エポック/国通) 入江:ドイツ軍 栗原:ソ連軍

「激しいたたき合いの末、残り4ユニットとなったソ連軍に前線をすり抜けられて、ポルタワを陥とされました。銃殺モノです」(入江)


 もっとも危険な企画『Prussia's Glory』集中プレイも成功裏に終わった。例会報告の締めくくりで、いつも「次回の対戦予定ゲームは……!」みたいなことを宣言しては、ぜんぜん違うゲームをやっているということからして、少なくとも私が気まぐれな男であることはバレバレであるが、コマンド49号では「ディシジョン・イン・フランス」が付録化され、雪解けの頃には「Hittler's Last Gamble」がライセンス生産、そしてシモニッチのバルジも控えているとあっては、早々に手元の西部戦線モノを供養しないと、大変なことになるという事態を踏まえて、次回は西部戦線集中例会と位置づけたい!!!  ということで、この企画に賛同する会員さんは、ぜひとも熱い情熱で、この手のゲームをやっつけてほしい。
 私としては『Wave of Terror(XTR/国通)』の3人プレイはいかがだろう。もちろんGJ5号の「パットン」でも、マーケットガーデンでもドンと来いである。




100MB無料ホームページ可愛いサーバロリポップClick Here!