第14回例会

 3連休初日とあってか、参加人数は8人。とはいえ、事前の対戦調整も首尾よく、密度の濃い対戦が繰り広げられていた。


 まず中央テーブルでは、東京からお越しの渡瀬君と、渡瀬君の先輩で宇都宮在住の高梨さん、そして私の3人で、Wave of Terror(XTR/国通)の対戦。スーパーローカル列車に3時間も揺られてお越しいただく足労に多謝すると同時に、ゲーマーの激しきパトスに戦慄する。
 さて、3人戦という事と、私がこのゲームは初めてということもあって、私は第6SS装甲軍、高梨さんは第5装甲軍、渡瀬君は連合軍を指揮することとなった。もとより最終ターンまでの対戦は不可能であるが、それでも一日という時間を、このアルデンヌに捧げたい一念での対戦である。まあ、それと、この春以降にはHittler's Last Gambleやらシモニッチ・バルジやらが控えているので、手元のバルジをどんどん供養したいという現実的な焦りも強く作用していることを告白する。ああ、プレイが追いつかない。
 WoTは、フルマップ2枚&大隊級のバルジ物でありながら、ルール部分はきわめてシンプルでいて再現性は壊していないという、稀有なゲームである(との評判)。もっとも、フルマップ2枚とはいえ、マップ部分は1枚半ほどなので、ちょっと大きめのバルジといった印象である。また、損害はすべてステップロスでまかなうので、大隊級でありながら煩雑さを感じさせないし、こだわりゲームにありがちなハイテ降下猟兵だのスコルツェニーの特殊コマンドだのを一切オミットしているのもいさぎよい。ZOC無しと言うことで、やや面食らう部分もあるが、もともと移動制限が厳しいことと、道路を外れると極端に移動力が落ちるところから、アルデンヌらしさは一切壊すことなく、局地的な機動線を可能にもしている。なかなか奥の深いゲームである。では、実際の展開を。
 米軍は、第1ターンの準備下攻撃を警戒して、前線へのユニット配置を極力避けて、兵力温存を図る。このため、特に第5装甲軍正面では、初動の衝突力が活かせず、若干の前進にとどまるが、第6SS装甲軍側では、エルゼンボルン〜サン・ヴィット間に突破口を穿ち、第1SS装甲師団が突進する。しかし、シュネーアイフェル方面では、予想を超える地形効果に苦しめられて、あっという間に攻勢頓挫。まあ、この方面はかならず兵力不足で膠着するのがバルジの常だが、それにしても前進が鈍すぎる己。右翼はモンシャウのラインまでしか前進できず、第6SSはサン・ヴィットからの突破口に全面依存する状況に陥った。
 以降も、連合軍は兵力温存を前提に、巧みな遅滞戦術で戦線を下げてゆくので、サン・ヴィットやクレルヴォー、バストーニュなどは比較的早期に陥落するも、その背後に連なる分厚いスタックにはちょっとげんなりする。第5は次々に成功される橋梁爆破と、バストーニュ西方のスタックの山に呻吟し、攻め手があまい第6SSは、正面の敵に痛打を与えきれないまま、時間だけが過ぎる。また、第6SS正面は突破口が狭く、増援の投入にも支障をきたしはじめていたので、パイパー戦闘団をヴィールサルムから北に向けて、シュネーアイフェルの戦線を下げさせようとするが、トロワ・ポン前面でついに解散となる。「なんとしても・・・パイパーの手でマルメディを」と一人つぶやく私のモラルの灯火は、ついにここにて果てるのかと思われた18:00、ままよと繰り出す低比率攻撃のことごとくで「5・6」を連発し、バルジの先端に強烈な打撃を与えることに成功するが、バストーニュ方面でははやくも米軍の反抗が始まり、軍境界に配置していた第9SSが補給切れを課されるにいたって、ついに時間切れ投了。準備下攻撃の利点を活かしきれなかった私の判断ミスと、連合軍の遅滞戦術にペースをあわせて進撃してしまった主体性のなさが敗因か。いずれにしろ、反省点は多々あるプレイとなるが、学ぶべき点も多かった。早晩、我が家で遠田氏とのキャンペーンが展開されるであろう。でも「チェルカッシィ・ポケット」もあるんだよなあ。ところで高梨さんは、ビッグゲームをプレイするのが何よりも楽しみとのことで、そのプレイ歴をうかがうだけでも、私のビッグ経験なんぞは消し飛んでしまう。氏の迫力を前に、私は生まれたての小鹿のように、ただただ震えるだけだったことを告白する。


WEST WALL方面からの眺め
シュネーアイフェルの停滞がひどい


さて、望みもしない晴天が到来し、パイパー戦闘団も解散に追い込まれたちょうどその頃に久野さんが到着。久野さんは、ブランク10年の出戻りゲーマーであるが、その10年前まではすさまじいコレクターであり、氏の納戸には、いまだ陽の光を浴びたことのないSPIやAH、VG,GDW、WE,WWWなどなどのゲームがトン単位で山積みになっているらしい。今回は、約束していたNey vs.Wellington(SPI/TSR)を金井さんに渡すために来訪されたが、なぜかそのカバンからは、4半世紀の時を越えて現れたSPIの4インチボックス(しかも美品)やらフラットトレイ(これも美品)やらが次々と・・・中でもひときわ目を引く「Campaign for North Africa(SPI)」を前に私が立ちすくんでいると、

「よかったら宮永君に預けますよ」

という久野さんの言葉。

「ええ〜〜〜〜っ!!」

と驚きまくる私に

「今年中にプレイしてね」

「(!?)ええ〜〜〜〜〜っ!……じゃあ、コンパス作戦だけでも……」

 とまあ、ルール研究だけでもということで、このギガントゲームを借りることになってしまった展開に驚愕。ユニットは自由に切っていいとのことで、はっきり言って震えます。と同時に、以前に私と先生がプレイした「Peter the Great」のことがしばし話題となり、「いまどきあんなテーマのゲームをプレイするのは宮永しかいない」と断言されるにいたっては、「On to Moscow!(S&T)」と「Wahoo(XTR)」の和訳準備を進めているなどとは、口が裂けてもいえなかった。そんなわけで、War Gamer誌まで付録ゲームごと4冊も借りてしまった。大丈夫か?


 一応、一般社会向けには史跡研究会と名乗っている以上、例会にはテーマを決めて臨もうということになったのが、去年の暮れのカラオケボックスでのこと。今回は西部戦線特別講座という位置づけで、会場入り口の表札には「第101空挺師団とマックスウェル・テイラー」と掲げていたのであるが、果たせるかな、隣の卓では、片山さん・新井さん・大森さんの3人で、『Screaming Eagles(GAM)』がプレイされていた。作戦戦術級の傑作とも言われるThe Gamers社のTCSであるが、片山さんは、好きなゲーム(シリーズ)の上位に挙げており、それだけにプレイ経験も豊富。この秋に現役復帰した大森さんも、復帰後最初に購入した箱入りがTCSということもあって、当会でも定番となりそうな予感がする。そういえば、私と遠田氏も『Matanikau』を購入した覚えが……


WEST WALL方面からの眺め
シュネーアイフェルの停滞がひどい


 古代史の論文にポール・ファセルの"WAR TIME"を引用するという前代未聞の暴挙を敢行し、スティーブン・アンブローズの「バンド・オブ・ブラザース」を耽読し、DVDボックスまで買っちまうわりには、このゲームについては不勉強で、展開はまったく説明できませんので、片山さんからの報告を。


 大森さんが初のTCSプレイということもあり、短めのシナリオ"BRIDGE TOO FAR"をプレイした。片山、新井がドイツ軍を担当した。ドイツ軍はHuber戦闘団の2個大隊、6門の対戦車砲、4両のヤクトパンテルが進入し、連合軍501及び506パラシュート歩兵連隊の一部が守る運河の2つの橋を占領することが目的である。ドイツ軍は、なるべく物陰に潜み前進するがなかなかうまくいかず、Eardeの教会に潜むRecon小隊(HQ)に補足されて盤外砲撃を叩き込まれ、(湿地が多く足が遅いせいもあり)序盤から大きな損害を受けた(4両のヤクトパンテルは序盤ですべて失った)。あっという間に、連合軍の増援のシャーマン、ファイアフライ、327グライダー歩兵連隊が駆けつけ、こちらは橋の占領どころではない。それでも橋への行軍をやめるわけにはいかないので煙幕を張りつつ、前に立ちはだかる車両を歩兵の白兵戦で破壊しつつ前進する。終わってみれば、ドイツ軍の1大隊がほぼ全滅していた。結局、ドイツ軍は勝利ポイントがなく、連合軍の大勝であった。ドイツ軍も意地を見せ、最終的に16両中11両のファイアーフライ、シャーマンを撃破した(7割方歩兵による撃破)。ターン数が短いこともあり、このシナリオでドイツ軍が勝つことは非常に難しいと思われる。まさに、ドイツ軍にとって"遠すぎた橋"であった。


 う〜ん、面白そうだ。片山さん、どうもありがとうございました。
 さて、前日に一緒に飲みに行き、そのまま私の家に泊まって例会突入となった先生は、神村君を捕まえて「Thirty Years War(GMT)」をプレイ。先生は、好きなゲームを3つ選ぶなら、まよわず筆頭にこれを挙げるほどの近世ヨーロッパ史フリークである。一緒に南ドイを旅行したときも、あなたはケルンの大聖堂ですか? ゴチック様式なんですか?と問い詰めたくなるほどグラマーなドイツ女に悶絶し、ローテンブルクの中世拷問史博物館で遭遇した究極の美女に電撃を浴びせられて、「俺はなぜ日本に生まれてしまったのだ」と恥辱の面をかぶって叩頭し、ミュンヘンのホフブロイハウスでは、リットルジョッキのヴァイスビアをぶつけ飲みしながら、ウェイトレスのおねえちゃんに「ヤー フロイライン アイン ヴァイスビア ビッテ」と呼びかけながら上げる右手が「ジーク・ハイル」。最後の夜には、場末のエキゾチックバーで、これまたどこのロマネスク様式なんですか?と十字を切りたくなるほどグッジョブなダンサーのヒモパンにユーロ札をはさみこみながら、「フラウコム!フラウコム!」と連呼して、最後にはステージに飛び込んでパンツァーリートを歌い始めるにいたり、まさに風雲急を告げる30年代にタイムスリップ。この事件の顛末を問いただすと、「おまえだよ、オ・マ・エ!」と切り返される私がいることを、あわせて告白する。確かに、オデオン広場で号泣しましたけどね。


 というわけで、すっかりティリーにかぶれた先生が旧教側、神村君が新教側である。いつもはキャンペーンでセットアップするのだが、これだと例会終了時に1635年前後までしか進まないので、今回は「Intervention」からのスタートである。肝心の和訳ルールを忘れてしまい、箱の中に入れておいた和訳ルールサマリーだけでプレイするという、ちょっとつらい環境であったが、プレイは順調。結果としては、インファント卿がテュレンヌに撃破され、ワレンシュタインを危険水域まで酷使せざるを得なかった旧教側の隙を突いて、トルステンソン率いるスウェーデンを一挙に南下させ、ウィーンとミュンヘンを落とした新教側の勝利となった。ルール解釈でぶつかるたびに、私に質問してきては、その答えが要領を得ないものであると、「貴様、和訳製作者だろう!」と罵声を浴びせかける展開には閉口したが、和訳=暗記とは違うと言い訳してみる。ちなみに、投了後のルール検証で、スウェーデン軍の補給について、あまりにも北方人有利な重大ミスがあったことが判明。先生曰く、「宇宙人と戦っていたようなものか……」


 途中参加の設楽さんと新井さんで、確か「ロイヤル・ネイビー」をプレイをされていましたが、詳細は以下の新井さんのレポートから。個人的になじみがないテーマのなので、大変参考になります。


 遅ればせながら1/11の「ロイヤル・ネイビー」の大雑把な戦況です。記録をとっていないので若干記憶違いの部分もあるかもしれません。また、私の担当したドイツ側からの視点になっています。
 シナリオ :ラプラタ沖海戦 1939年12月、南大西洋などの通商破壊で戦果を上げていたドイツ装甲艦「グラーフ・シュペー」が南米ウルグアイのラプラタ河沖でイギリス艦隊に捕捉されて戦闘に突入した。英軍(設楽さん) :軽巡「エイジャックス」(主砲15cm砲 x 8)、軽巡「アキリーズ」(同左)、重巡「エクゼター」(20cm砲 x 6) 独軍(新井) 装甲艦「グラーフ・シュペー」(28cm砲 x 6)

第1ターン
「シュペー」全砲門を単縦陣先頭の「エイジャックス」に指向。とてつもない正確な砲撃で「エイジャックス」をほぼ戦闘不能に陥れる。英軍全艦の砲撃を浴びるも右舷魚雷発射管を破壊された程度ですむ。

第2ターン
同航戦が続く。「シュペー」さらに「エイジャックス」に砲撃を浴びせてこれを撃沈。ハーウッド准将の生死は不明。その後目標を「アキリーズ」に変更。またしても鬼のような正確さで次々に命中弾を与え、主砲を半分ほど潰す。英軍の砲撃は振るわないようで僅かな命中弾も「シュペー」の装甲に弾かれる。

 「シュペー」180度反転し「エクゼター」と接近。中破した「アキリーズ」を無視して「エクゼター」に射撃を集中、同艦の装甲の薄い主砲を次々に破壊。さらに「アキリーズ」から発射されたと思われる魚雷を回避。この後「アキリーズ」にも砲撃を集中して主砲を破壊し尽くす。これは一方的かと思いきや英軍の執念の砲撃で「シュペー」はブリッヂに命中弾を受け指揮官のラングスドルフ大佐が戦死、射撃指揮所にもダメージを受ける。 ここで両プレイヤーとも離脱を決意、終了となる。


 仕事の都合で夕方からの参加となった善如寺君と山岸さんは、『Victory at Sea』を対戦。初プレイとなる善如寺君に、山岸さんが教育しながらの対戦となったが、中盤以降、山岸さんの声がやたらと大きくなっていたことから、Uボートの魚雷が当たりまくっていたようだ。


 ということで、第14回例会は以上のとおり。人数の割には、タフな対戦だったようだ。いつもかならず渡瀬君と一緒に来ていた渕上君が、卒論の追い込み(追い込まれすぎ)でステップロス&孤立していたとのことで、同行できないことを残念がっていた様子。高梨さん、渡瀬君ともども無名戦士会員・自己紹介カードに記入していただき、晴れて正式会員となりましたが、当会はいっさい会員の囲い込みなど行っていませんので、次回以降も、どうぞ気軽にご参加くださいませ。


第14回特別例会

 運良く、例会の翌々日に会場をおさえることができたので、特別例会を敢行。まあ、普段と何も変わることはないのだけれど、「場所だけ空けておくので、各自好きに使ってくいやい」ということである。


 先日の例会に参加できなかった遠田さんと私は、『Barbarossa to Berlin(GMT)』を対戦予定であったが、遠田氏が午後からということで、開場時間から来ていた大森さん(本当に熱心だ)と、「戦略級関ヶ原(GJ#2)」を対戦。私が東軍、大森さんが西軍である。展開は次のとおり。最上討伐に血道をあける上杉勢の隙を突いて、池田輝政率いる東軍ごみくず軍団が会津を急襲。上杉本隊の連絡を断ち切り、景勝は米沢に籠もる羽目に。しかし、わずか4戦力で会津奪回に来た直江山城を13戦力で迎え撃った輝政は、野戦修正が「1」に落ち込んだ山城相手に、7度連続で主導権を奪われるというあきれ果てる様で全戦力を損耗。「脇坂・朽木の調略カード」を胸に秘め、大谷刑部の北ノ庄まで出陣した前田利長は、予想に反する野戦を挑まれて、これも大敗北。反撃に出た大谷の勢いの前に、本拠を失陥する馬鹿息子ぶり。あまりのことに、江戸表でこの知らせを聞いた芳春院(まつ)は、父の形見の笄でのどを突いて死に果てる。中仙道では、真田に翻弄されていきなり中立に陥る秀忠の督戦に派遣されてきた榊原・本多両隊もあいついで中立化し、ようやくの思いで回復した秀忠が、再度中立化するに及んで、ブチ切れた内府(俺)は、秀忠の廃嫡を宣言して投了となる。活性化後のダイス判定で5・6が出なけきゃなにもできない点を除けば、手軽かつエキサイティドな良ゲームである。繰り返し遊べそうだ。


戦略級関ヶ原:面白いですよ

秀忠、榊原康政、本多忠勝 無力化!
おそるべし!真田


 さて、B to B対戦に望んだ私と遠田氏であるが、互いにルール読みが浅かったことと、遠田氏が比較的早期に撤退しなければならないことが判明したので、このゲームについては、「小鹿の巣」(つまり我が家)例会にまわす事で同意(先日よりプレイ開始となったが、死ぬほど面白い。私は2度チビッた。ちなみに41年秋にレニングラードが落ちました)。私は持参した「アレクサンダー大遠征(ニュートン出版)」の読書戦(by YSGA)に突入し、遠田氏は、善如寺君と細井さんのVictory at Seaサポートに入る。とまあ、このプレイのさなか、先日チュートリアルされた少なからぬ部分が誤ルールであったことが判明し(双方有利・不利)、まったく別のゲームのようだとは、善如寺君の言葉。今度からは自分でルール読んでくるように。最後にUボートを封じ込めた連合軍が、かろうじて勝利していた模様。


 現役復帰宣言をした久野さんは、大森さんと「ドイツ南方軍集団 星作戦」をプレイ。久野さんがドイツ軍、大森さんが赤軍である。巧みな定点防御で赤軍を翻弄していたドイツ軍が、中央からの大突破を許して敗北していた模様(詳しくはわかりませんが)。
 手持ち無沙汰になった遠田さんは、私に「朝鮮戦争(EP/サンセット)」を持ちかけてきたのですが、最近、どういう経路からか(以下検閲)・・・改革的陰鬱な気分にさせてしまうこと満点である。
 そんなわけで、戦略級関ヶ原を対戦。これから面白くなるかなという場面で、残念、遠田氏は奥さんに拉致されてしまった。
 さて、ちょっとキジ撃ちに出てから会場に戻ってみると、細井さんが神村君に「Big野球」をインスト。うむむ。細井ダイエーが神村阪神に滅多打ちにあっていたようだ。
 というところで散会となった。次回の例会は2月11日(火・祝) 文化むら第2研修室で。(自分の)テーマは・・・南北戦争!




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