『Advanced Tobruk』CH,2001/国際通信,2005

2005年12月4日。天気が悪かったので家でゴロゴロしていたら、散歩から帰ってきた会長から呼び出しが掛かる。「おう、M君、アドバンス(何度教えても名前を覚えない)やろうや。ゲーム持ってきてな」。

で、いつものゲーム部屋に行ってみると、あと1時間ほどで馮道氏も合流するらしい。会長が電話をしたところ、ちょうど奥方のママさんバレーに帯同していたらしいが、「ああ、それなら無理やな。いやね、今からMにルール解説させてアドバンスやるんよ」と意地悪なことを言ったらしい。ま、そんないきさつはどうでもいいとして、カイラスの蒼天を飛ぶ鳥も墜ちるほどのこの寒き日の午後から『アドバンスト・トブルク』3連戦が始まった。

《第1戦》シナリオ14「神経衰弱」

まず会長と小手調べ。前回プレイしたのは市街戦ばかりだったので、今回は砂漠で。シナリオはマップの長辺2/3ほどを使い、盤端から登場したイタリア屑鉄戦車隊が突破を目指すもの。コンパス作戦の途中に行われた限定反撃という設定なので、イギリス軍は準備不足。ただし虎の子の2ポンド対戦車砲はブッシュに隠匿配置できるので、ここから受ける奇襲射撃にびくびくしながら前進することになる。だから「神経衰弱」ということか。たっての希望で、会長がイタリア軍をする。

ただし、ちょっと勝利条件が極端。というのは、イタリアAFVが2輌やられる前に2ポンド砲を1門屠れば、その瞬間にイタリア勝利となるので、イギリスも安易に砲の姿をさらすわけにはいかないからだ。つまり、藪の中にたくみに配置して、射撃するときはイタリア戦車を確実に2輌葬れるように十字砲火に絡め取らなければならない理屈(ただし射撃速度が速いので1ターンに6発撃てる)。あとはイタリア戦車4ユニットの突破を阻止すればいい。M13/40以外はゴミと一緒なのだけど(M11/39とL3-35)、いかんせん、イギリスにダミー含みの対戦車ライフル装備キャリアーしかないのが痛すぎる。

で、A.B.Cに2ポンド砲を隠匿配置して、黒円のあたりまで引きつけてから地獄のふたを開けようとしたのだけれど(写真参照)、会長はAの真上(見た目で)よりやや左側で停止して動こうとしないので、我慢できなくなったB砲が射撃。これがことごとくM14/40を捕らえるものの、最終のK-Killl判定に嫌われ、計4発の命中弾を(Burst on Target込みなので射撃回数が増えている)与えるも、ついに撃破できず。逆にイタリアは停車して低命中値ながら執拗にB砲を狙い、ついにこれを撃破。やはり先走って我慢できなくなったイギリスが負けてしまった。うぐぐ……。戦争劇画なんかでよくある「落ち着け!敵を引きつけて撃つんだ!」というのは根拠があっての言葉なのだ。しかし、地味なんだけど面白い。怪しいヘクスに空撃ちすれば隠匿対戦車砲を発見できるのだが、機械射撃が怖いし、そんな無駄弾を使っている余裕もないので、身を寄せ合ってのろのろ進んでくる様がおかしかった。


シナリオ14「神経衰弱」ゲーム開始時の状況。下でちょろちょろしていたL3-35はブレンガン装備の歩兵分隊に射圧され、あやうく撃破されそうになって、バック移動で逃げ出していた。

《第2戦》シナリオ70「戦車隊の奮戦むなしく」

馮道氏到着。この人は生まれながらのコレクターなのだが、まだATSだけは持っていなかったというから意外の他ない。ただ、戦術級ゲーム(特にツクダ系)には造詣が深いので、このゲームの飲み込みも早く、簡単な説明で済むところがありがたい。と言うことで、シナリオは『アドバンスト・トブルク追加シナリオセット』から、70番「戦車隊の奮戦むなしく」をチョイス。チュニジア戦線最終盤という設定で、ドイツ軍がPzkw.IIIh・IIIn・Sd.222という陣容に対し、イギリス軍はHumber II×2・AEC I×2・Portee(2ポンド砲)というなかなかおしゃれな設定。ハーフマップサイズに多彩な地形。登場するのは戦車だけで、しかも勝利条件が敵撃破によるVPのみなので、プレイヤーの個性がはっきり出る傑作シナリオだ。私はイギリス軍を担当。、馮道氏にはドイツ軍を担当してもらったが、氏がドイツ軍を率いるとめっぽう戦績が悪いので、さて……


シナリオ70「戦車隊の奮戦むなしく」これは追加シナリオセットの傑作シナリオ。
半分のマップで地形が複雑な割にユニット数が少ないので選択肢が多い。
目玉は40mm(2ポンド)砲搭載のPorteeの使い方。

まずボロいトラックに対戦車砲を積んだだけといういかにもなイギリス軍のPortee(ただし脚はめちゃくちゃ早い)を右手前の小丘にあげ、中腹あたりで180度ターン。こっち方面からドイツ軍が来たらぶっ放して逃げるという寸法だ。ドイツ軍も考えることは同じで、Porteeの正面に3号を集め、砂丘(画面左)の背後にSd.222装甲車をうろちょろさせている。こちらは牽制のつもりのようだ。もちろん、こんなチャンスを逃しはしない。数の少ないドイツ軍が先に手の内を明かしてはならないのだ。イギリスはこれまた脚の速いHumber IIを砂丘迂回で一挙に前進させ、Sd.222を両翼から包囲。装甲車同士の戦いだが、もう、Sd.222は砲塔をよじるだけで機会射撃をあられのように浴びせられ、これがK-Kill。あとはイギリス軍、逃げるだけとなってしまったのだが、それではあまりに真心がないし、逆境にあってこそ真価を発揮する馮道氏の反撃を見ないのは惜しい。私は戦場に踏みとどまり、さらに戦いを継続することにした。ただし、2輌のHumberはとっとと盤外離脱させたあたりは糞ゲーマーだ。

で、この後、中央の2段重ねの小丘で側面の取り合いが続くと見せかけ、実は小丘を回り込んでPorteeを狙おうとしていた馮道氏が、40%程度の射撃を2回失敗して万事休す。Porteeがぶっ放した2ポンド砲が3号n型の車体下部をぶち抜き、残るh型も2輌のAECに挟まれて蜂の巣にされイギリス軍の完勝。こう書くと、ルールを知らない初戦者相手にえげつないプレイをしたように思われそうだが、真相はまったくその通りなのであしからず。だって、馮道氏、全体的な考え方にはとまどいが若干あったみたいだけど、さすがあのきゃめる氏相手(10月16日)にのらりくらりと10ターンも渡り合える忍耐と辛抱の人。個々の動きは理にかなっていたので、手強かったんですもの。

《第3戦》シナリオ61「ウルトラ暗号は解読したものの」

基本的には射線が通りやすい砂漠の戦いなので、3号やらクルセイダーやらでの戦車戦も面白いのだが、せっかくならティーガーが出るシナリオもプレイしたいと言うことで、こちらを選択。丁度コマンドの記事で同じシナリオに関する記事を編集中だったこともあり、会長や馮道氏よりもいろいろと分かっていたシナリオだったので、私はどちらかといえば馮道氏(ドイツ軍)寄りのレフェリーとして、二人の対戦を見届けることになった。

西に向かって前進する3輌のM4A2シャーマンと5輌のM3リーを、ドイツ軍のティーガー2輌と3号L型2輌、Pak38(50mm)が迎え撃つとしうシナリオ。レフェリーだけでは気の毒と思ったのか、馮道氏は私にPakとM42mmgの運用を一任するという太っ腹を見せたので、これを中央の小丘に配置。馮道氏はティーガーを小丘を挟むようにティーガーを1輌ずつ配置し、さらに外側にティーガーを挟み込むように3号L型を1輌ずつ配置した。こうすれば、小丘の南北どちらにイギリス軍が集中してきても、すくなくとも2輌のティーガーは戦力化できる。

イギリス軍には大きく2つの選択肢がある。8輌の戦車を集団で運用するか、それともある程度分散して、個々の判断で突破するかである。会長はM3リーをマップ南端に集中投入し、シャーマンを小丘の正面にぶつけてきた。シャーマンがドイツ軍主力を引きつけている間にリーを逃がして点を稼ごうというのだろう。これなら、リーに損害がでかいことを前提で、突破途中で3号を1輌撃破すれば勝利できる。この計算は理解できる。だが、これでは経験上、イギリスの敗北は間違いない。正面からのM4は瞬時に抹殺され、突破途中に側面から88mm砲を浴びるM3の半数はスクラップになること必至だからだ。


シナリオ61「ウルトラ暗号は解読したものの」
ついに登場。用心棒のティーガー先生。鋼鉄の暴力がイギリス軍戦車隊を激しく打ちのめす!?

ティーガーを使わずとも、M4相手なら中央のPak38だけで十分対処できる。それだけに活躍の余地無しと思っていたら、わざわざ正面から出張ってくれた会長の比肩する者無き戦術眼に感謝しつつ、必殺の速射を浴びせるが、しかしこれが役に立たない。命中弾はあたえまくるものの、肝心のK-Kill判定にことごとく失敗している。BOTマーカーも載るので、2ターンをかけて5発もの命中弾を与えたのに、遂に撃破できず。逆にもう一両のM4からのAP弾が防盾を貫き、除去されてしまった……とほほ。

しかし、M4がPak38の除去に夢中になっている間に、3号が側面をとり、破壊されたPakの横にはティーガーが鎮座して、M4にに狙いを定めている。まさに用心棒の風格だ。

「先生、出番です。よろしくおねがいしやす」

と、水戸黄門級のベタなせりふを吐きつつダイスを転がす馮道氏。しかし、必殺の88mm砲も当たらなければどうということはない。側面からの3号の切り込みも不発で、不甲斐なし、先生方!

南では、もう1輌の3号がひとり気を吐き、リーを1輌仕留めたものの、これまたティーガーが外しまくっている。

いらいらしながら見守っていると、中央の小丘のティーガーがようやくM4を仕留めたと安堵したのもつかの間。もう1輌がやけくそで放った一弾がティーガーの履帯を砕き、ビビリが入った乗員が戦車を放棄して逃げ出す始末。相手が年上にもかかわらず、ついつい汚い言葉を浴びせてしまったが、まだ悲劇は続く。

てっきりマップ外に逃げ出すつもりかと思っていたリー部隊が、一斉に足を止め、もう1輌のティーガーに砲撃を浴びせてきたのだ。1輌だけなら仕留められるとふんだらしい。なめるのも大概にせい! と吐き捨てて、1輌ずつ仕留めてくれようと馮道氏に進言したわけだが、どうにも判定プロセスがおかしい。ティーガーに対する命中弾としてはあり得ないほど危険な判定を要求されていたと思ったら、なんと馮道氏、リー戦車のスポンソン砲射界に対して、位置取りのまずさから思いっきり車体側面を曝していたのである。命中率の低下を嫌い、車体を正面に向けずにいる馮道氏。BOTマーカーまでつけられ、射圧され、第4ターンには5発もの命中弾を浴び、遂に砲塔側面を30%の確率に負けて破られてしまい、K-Killの泣きを見る。ティーガー2輌をつぶされた上に、VP的にもイギリス軍に僅差の勝ち逃げを許すという、ちょっと考えられない結果に終わった対戦だった。

あ〜びっくりした。


小丘の上で擱座しているそのお姿は、まっこて見るに忍び難き……
後日の対戦でも別のティーガーを撃破されていたところから、馮道氏に43年以前のドイツ軍を
プレイさせてはいけないようだ。

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