『大阪無名戦士 臨時総会』

1月15日(土)〜16(日)にかけて、会長宅で臨時総会が行われた。名前こそ仰々しいが、早い話が、好き者オヤジが酒とつまみを持ち寄って、夜通しゲーム、一日中ゲームをするのだ。嗚呼、馬鹿がゲームにやってきた(基本的に敬称略)。

しかし、今回は前夜祭参加者が少ないという事前情報(アルツマン会長、エース、私)があったので、なにか3人でできるモノはと考え、『COBRA!(SPI/TSR)』に決定。PGGルールをベースにしたノルマンディ突破戦ゲームで、噂によるとタイ・ボンバがDGでリメイクをたくらんでいるとのことだが、いずれにせよ、なかなか安定した名作ゲームだ。最後にプレイしてから12年くらい経っているので、いろいろあやふやだったが、PGG巧者エース氏〈以下A〉がいることだし、ま、問題なかろう。そう思っていたら突然、鉄人デグ氏がやってきた。Aが動員をかけていたらしい。ということで、私はいつものルールマスターの座に引っ込み、3人で対戦してもらうことになった。

ルールマスターのいいところは、プレイがいったん軌道に乗ってしまえば暇になることだ。作りかけだったMG旧ザク(黒い三連星仕様)でもいじろうかと思っていたんだけど。


初期配置完了。連合軍の蛍光発色が気になるところ。シナの野菜畑みたいだ。

連合軍は、Aがイギリス軍、デグがアメリカ軍、アルツマン会長がドイツ軍。戦力的には優勢な連合軍であるが攻勢補給制限が厳しく、無駄な攻撃はできない……はずなのだけど、アルツマン騎兵元帥が21PzDをカーン方面に動かしたのを見届けたモンティ・エースはオルヌ/ディーヴ川方面に全面攻勢。ここを易々と突破して、延翼運動を開始した。これにどうにか対処したい騎兵元帥だが、いかんせん天気が良すぎ。やわらかな陽光がさんさんと降り注ぐ初夏の北フランスに似合わぬモスキートとタイフーンの大群に足止めされて、戦線の整理すらおぼつかない。私がトイレで中座すると、受験生の会長娘がヒソヒソ声で、「お父さん、また負けとるん?」と心配していたので、「いや、そんなことは無いよ。勝っていないだけだよ」と優しく諭す俺がいましたよ。

そうこうしている内に、アメリカ軍側ではパットン・デグが蓄えていた補給を惜しみなくつぎ込んで担当戦区の両翼から攻撃開始。結果、全戦線で3箇所の大穴が空いたドイツ軍になすすべ無く、アルツマン会長の顔色が焦りの赤銅色から絶望の土気色に変わったのを見て、これが限界と私が判断。タオルを投げ入れることになった。「お前のルール説明がなってないからや!」とか言ってファビョる会長だが、PGGマイスター2人を相手に突破口3箇所で済んだんだから、理念上の所為売りじゃないですか? とか何とか言っていた私がいたように思います。いずれにしろ、PGG独特の守り方があるということをレクチャーされ、次回、また同じ陣容で再戦しようという話になった。


初お目見えの『Road to Richmond(SPI)』チト古いゲームで、あまり話も聞かない。

『COBRA!』が始まって間もなく、齋藤下野君が突然やってきた。「来られるなら事前に電話かメールを」と言っていたのだが、下野君、会長宅のマンション近くまで来てから電話してくるもんだから、携帯をかばんの中に入れっぱなしでこれに私は気づくことができず、可哀想に30分も寒空に放置されたのである。ということで、ひとしきりの恨み言を真摯に聞き流した後で、早速ゲーム。すったもんだあっても、ゲームをやれば忘れてしまうのだ。

で、プレイしたのはS&T60号の付録になっていた『Road to Richmond』。『On to〜』なら高値も付こうが、これはBlue & Grayのシステムによる7日間戦争の緒戦、メカニクスヴィルに続く、ゲインズ・ミルの戦いを扱っている。ゲームは全20ターンで、メインの6月27日をど真ん中に置いた3日間の戦役をB&Gで再現するというわけだ。初期配置は北軍しかいなく、写真の右上と右下から南軍が登場する。当然、写真の右上がゲインズ・ミル、オールドおよびニューコールドハーバとなっていて、中央の川はチカホミニー川である。

下野君は北軍、私が南軍である。基本的に北軍は部隊を温存してマップ東端(写真左端)から逃げるという方針になるので、南軍としては延翼して退路を断つ必要がある。まず、最初の増援をニューコルドハーバー東の堅牢な北軍陣地にぶつけて拘束し、続く増援をひたすら北東(地図下中央)に進めて、延翼をはかるのだ。と、まぁ、知ったような事を書いているが、割と成り行きまかせな展開だった。中央部の地形が険しいため、下野君はここを固めていたのだけど、こっちらの延翼への対応がちょっとだけ遅れたため、4個ほど部隊をとばされ万事休す。まさにBilly Yanks Chickahominy Blues。このシステムへの慣れが勝敗を分けたかな。で、勝敗はどうでもいいとして感想を言うと、B&Gの中では面白い部類だけど、Chickamaugaには及ばないなぁといったところ。南軍が全て増援扱いというのが、ちょっと大味に感じた原因かとも思うけど、史実がちぐはぐな戦闘だったし、これがベターな選択なのは間違いないところか。もう少し遊ばれても良いゲームだとは思うけど、B&G自体、いったい日本のどこでやっているんですか? 的な状況なので仕方がないですね。

気がつくと、アルツマン会長は敗戦の責任をとってふて寝。エースとデグは『PGG』を始めてしまっている(これは明け方まで続く)。プレイされているゲームだけを見ると完全に昭和のゲームサークルだ。違うのは、当時の高校生がオッサンになっていることだけか。なんだか目頭が熱くなっちゃったので、寝ることにする。


日曜日、本割りの参加者は前日の5名に、ポヤ郎、馮道、和伊愛、そして新顔のTKM(現在ハンドル募集中)の4名を加えた9名。事前の約束通り、Aと下野君は『日本機動部隊2』を対戦。口を開けば大和大和とうわごとのように繰り返しながらも、率いてみると「扶桑かよ!」とつっこみを入れたくなるような轟沈ばかり繰り返すエース氏だが、今回は下野君に帝國海軍を譲り、アメリカ海軍を率いていた。帝國海軍の運用の難しさを実感させることで、あらためて自分のこだわりの深さを思い知らせ、ついでに減らし続けている勝率も上げてしまおうという貧乏根性のなせる技かどうかは定かではないが、七面鳥撃ちをかいくぐってきた学徒兵搭乗機に、見事正規空母(何だっけ?)を撃沈されて、引き分けにされていたらしい。


『日本機動部隊2(国際通信)』空戦解決のワンシーン

ここで管理人、前日より自覚していた風邪が急速に悪化。いったん近所の自宅に帰り休息をとることにする。その間は、何が行われていたかよく覚えていないのだが、


TKMとデグの間では、ASL SK#1のシナリオ1だったような。


やはりそうだ。モデラーでもあるTKM氏は戦術級がお好きだそうです。


馮道はアルツマン会長と『Fighting General Patton(AD)』から、「Rush on Avranches」を。
会長の連合軍が突破に成功し、昨夜の鬱憤を晴らした模様。「江戸の敵を長崎で」は会長の得意技です。

夕方にはどうにか体調が回復し、再び会長宅にやってきたところ、一つ卓を囲んで、オッサンたちが奇声を上げている。遠巻きに眺めると、


ダンテが「神曲」で語ったところの〈煉獄〉とは、こういう状態を言うのだろう。
30分=下野君、麦彦=馮道、ありもしない増援をちらつかせて場を混乱させていたのはポヤ朗。

でた! (あの信長もさじを投げたという和泉を根城にした)大阪南方軍集団伝統の8人マーケットガーデン!! 寝てて良かった! 詳しい布陣は忘れたが、連合軍〈101D/下野、82D/TK、1D/馮道改め麦彦、30Corps/和伊〉、ドイツ軍〈SS/北橋、増援/ポヤ郎&デグ、貼り付け部隊/アルツマン会長〉だったようだが、この辺の記憶はかなり曖昧。


これがポヤ郎言うところの「ラインの護り」作戦の内訳。お粗末すぎる。

増援のほとんどを盤外ボックスにプールしてふくらませ、第30軍団の側面がのびきったところに急襲をかけると脅しまくっていたポヤ朗のテンションの高さが印象的だったが、この自称「ラインの護り」作戦が、第30軍団の防御砲撃の前に溶けて消え去り、アルンヘムまで電車道が開通したか!? というところで時間切れ。相も変わらず、中央とはまったく関係のないところで苦戦を強いられることになったイギリス第1空挺(馮道)だが、投了時にまだ4個ユニットが余っていたことが相当嬉しかったらしく、精神的な勝者は間違いなく馮道だ。踏まれても、踏まれても、また必ずまっすぐ伸びてくる麦のように強い男、馮道。馮道氏の目は、「ゲーマーよ、お前は強い麦になれ!」と訴えているかのようだった(ギギギ)。私はそんな馮道の凛とした姿勢に猛烈に感動したので、今後、彼の公式ハンドルネームを《麦彦》に決定した。どんなに主張してもプエルコリダ=ポヤッチオが《ポヤ郎》になってしまったのと同じで、この決心が変わることはないだろう。


キャンペーンでできるマーケット・ガーデンとしては最もポピュラーなHJ社の『マーケット・ガーデン作戦』

マーケット・ガーデンについては、S&T233号の新作『Dagger Thrusts』が大変評判いいですね。これはハーフマップのゲームが2個ついているのですが、どちらも仮想設定で、マーケット・ガーデンに投入した44年9月の攻勢補給がもしパットンの第3軍に与えられたら?という設定の「Patton」と、史実同様の「Montgomery」の2個イチとなっています。「Montgomery」のどこが仮想戦かというと、マップ範囲にはアントワープとスヘルデ河口から、アーヘンからローエル河沿いのウェストウォールが描かれていて、連合軍にはマーケット・ガーデンへの投入戦力が与えられていながら、
・アルンヘムからのライン渡河
・スヘルデ河口掃討とアントワープの全市支配
・ウェストウォールの攻略
という3目標のうち、いずれか1つを達成すればいいと設定されているのです。マップの作り方からアルンヘム攻略がもっとも簡単に見えてしまうところがにくい演出ですが、マーケット・ガーデンに伴う言い尽くされたジレンマを、プレイヤーの判断にゆだねたという意味では、非常に優れたゲームです。ちょっと乱暴な言い方をすれば、『オンスロート』の終盤のいいとこ取りとも言えそうですね。

ここ1、2年の実感ですが、タイ・ボンバが参画しているS&Tのゲームクオリティは、確実に上昇しています。ある種いきついてしまった感のあるシステム的な進化からいったん離れ、プレイヤーの決断力を問うシンプルなスタイルを見直しているのではと感じるわけです。「8ページ以上のルールがあるゲームはやる気が起きない」とか極論する人を見ると、それはそれでじゃあ、いったい今までの30年間は何だったんだ? という情けない話になってしまいますが、「古い革袋に新しい酒を」的なムーブメントは、この先5年くらいのトレンドになってゆくのではと考えています。

ということで、なんかゲームに関してはろくな報告になっていないけど、まぁ、こんな感じです。勝敗に関しては真剣ですが、だからといって、負けて貶められるような空気ではないので、その辺がうちの会のいいところかと。ゲームに関する真面目な分析は、実際の所、盤面に落とし込んで実地で試すモノであって、webではゲーム会場の空気感を伝えるのがせいぜいという状態ですが、なかなかに楽しい集まりではあります。

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