『Against All Odds』

4月2日(日)、ATS全シナリオ完遂の覇業に燃えるアルツマン会長と管理人の2人で『Against All Odds』を対戦した。このモジュールはサンメール・エグリーズとユタ海岸の中間地点、Le Flereの橋梁奪取のため降下した米第82空挺師団の一部と独軍第1057擲弾兵連隊の戦いを再現している。くせ者の多いATSモジュール群の中では、空挺vs.二戦級歩兵部隊という地味な設定ながら(戦車戦はほとんど起こらない)、戦場の地勢が極端でなくシナリオのバランスも良好。歩兵戦闘に習熟する上で最善のアイテムという評価もある。

AAOにはシナリオが8本しかなく、その点は不満が残るのだが、その分よく考えて作り込まれているように見える。とりあえずこの日は時間が無く、1つしかできそうもないので、ダイスの結果、シナリオ7〈Generals Move〉に決まった。AAOのシナリオはD-Day当日と翌日、あとは6月9日の3つの設定が与えられているが、このシナリオは9日のドイツ軍の反撃を再現している。具体的には第325グライダー連隊の一部が、西から反撃に来るドイツ軍を撃退して橋頭堡を守るというもの。約20ある建物のうち11個を米軍が確保すれば勝利となる。

最初に米軍(管理人)が配置。これは小隊(規模)毎におよその配置ヘクスが決められている。ドイツ軍はマップ西端から3ヘクス以内に自由配置(一部増援)なので、初動はドイツ軍に分がある。ATSはモジュール毎にそれぞれ地形的特色と課題があるように思うのだが、AAOについてのそれはボカージュと生垣に尽きる。さらに言うなら、これらを攻略するための制高点(建物)の活用か。LOS通過ヘクスにあるボカージュ(生け垣や石壁込み)はLOSを妨げるが、存在ヘクス及び目標ヘクスに接するヘクスサイドのボカージュは(部分)遮蔽効果をもたらすだけなので、不用意な移動をすると突然機会射撃を受けたりする。ところどころで、「えっ!そこから見えたのかよ!」的な状況がが発生し、次々と分隊が溶けてゆく様を見ていると、だんだんと無口になってくる。

序盤に奪われた建物を取り返すために、米軍は無理をしなければならない。そのために例外的とも言えるM4A1シャーマンが3輌も増援として登場するのだが、やはり戦場慣れしていない米軍戦車部隊。最初に自軍ユニットを目視した瞬間に士気判定をして、これに失敗するとその自軍ユニットにお家芸の誤射をかましてしまうのだ。そのため、いささかゲーム的ではあるが、戦車が到達する道路に一個分隊を差し向けて、連絡を付けさせる(早い話が誤射されてこいという事)。幸い今回は誤射も起こらず、中盤には戦車が到着してドイツ軍は後退を始めるが、しんがりに巧みに射撃チームを残しているため、米軍も損害が大きく追い切れない。どうにか米兵の動きを制約し続けていたMG42中機分隊を2階建て建物から駆逐することに成功するものの時間切れ寸前。終盤には局所的に隣接〜2ヘクス程度の距離での撃ち合いが始まり、白兵戦も頻発するなど、まさに阿鼻叫喚地獄。この白兵戦にはことごとく敗れた米兵は大きく兵力を損じたが、ドイツ軍のMG42中機をろ獲した分隊が、M1919軽機との合わせ技でドイツ軍を背後から掃射。一個小隊(2個スタック)を壊滅に追い込んだところで、ゲーム終了。建物の確保数では10個と米軍が僅差で敗北した。


デジカメを忘れてしまったため、携帯電話の写真で申し訳ない。
手前の沼地を走る土手上から米軍戦車が到着する。縁取りの故意部分がボカージュで、やや薄いのが生け垣。
もちろん、ボカージュの砲が遮蔽効果・地形修正とも強力に設定されている。

火線が張られているところと安全なところが入り組んでいるボカージュ地形では、移動に慎重さが求められるのは当然だが、敵プレイヤーが気づきにくい死角を早く探して、そこに罠を張り、機会射撃で打撃を与えることが重要である。今回、本格的なボカージュは初めてだったが、互いの歩兵スタックがのたうちまわるようにして騙し合いを繰り返してぐったりと疲れてしまった。勝負は4時間にも及び、大詰めの場面では背中に嫌な汗を浮かべながら悶絶するほどだ。歩兵戦闘は「痛くて」辛いのだが、このモジュール集は素晴らしい。しばらくはAAOを遊ぶことになりそうだ。

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